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WEEKEND LOG LIFE

 9.壁積み(1)

いよいよ壁積みである。丸太小屋造りの中心にあたる作業であり、時間も根気もかかるところだ。トラス(屋根の下の三角形の部分)を除いて、基礎から屋根までが21段、それを4辺積むわけだから84本の丸太を井桁に組んでいくわけである。ちなみに、丸太の断面は70×145o、長さは約4メートルぐらいだろうか。ベランダの手摺りを構成する部材は約1メートルほど長い勘定になる。

部材には、あらかじめアルファベットと数字で置くべき位置が書かれている。最初に、大引きと平行に並ぶように、半角のログを土台の上に置いた。次に、それと直角になるように玄関側と裏側の2本のログを、あらかじめ刳られてあるノッチに合うように重ねて置いた。四方の隅が直角になるように位置合わせをした後、あて木を置き、掛矢で叩いて下まで打ち込んだ。そうしておいて、半角のログの上から、五寸釘を50センチ間隔で土台に打ちつけていった。

丸太小屋造りでいちばん難しいのが、丸太と丸太を隙間なしに組み合わせるために丸太が重なる部分を刳っていくノッチングという作業である。今回使用した部材は、それが、あらかじめ済まされているので、大幅な時間短縮ができる。そこがメリットだった。とはいえ、時間が許すなら、ノッチングも自分でしてみたかったというのが偽らざるところだ。

最下段が土台に固定されたら、後は、番号順に一段ずつ上に組んでいくのだが、2層目からは、ダボ打ちというものが必要になってくる。ダボというのは、ログとログを一枚の壁状に保つために打ち込む木の杭である。4メートルもあるログである。もしダボがなければ、風雨にさらされている裡に反りが出て、各層の間に隙間が生じる。それを防いでくれるのがダボである。3センチ角30センチほどの角材だが、馬鹿にできない役割を持っているのだ。

ダボは60センチ間隔で、あらかじめドリル穴が開けられているところに打ち込んでいけばいいわけだが、穴は丸。ダボは四角、そのままでは入らない。面倒でもその都度、面取りをしなければならない。この単調な作業を妻が引き受けてくれた。最初のうちは、有り難みを感じていたのだが、作業が進むうちに、すっかり忘れてしまっていた。

1本のログに5本のダボがいるとして、1層に20本の勘定である。その日は、Mさんが手伝いに来てくれて、調子よく作業が進んでいた。二人はログに馬乗りになっているので、下の作業は妻一人でしなければならない。いつもは明るい妻の様子が変なのに気づいたのは、何本目かのダボを請求した後だった。単調な作業を黙々とこなし続け、その上に上からの要求に応えなければならない状態にすっかり滅入ってしまっていたのだった。

以後は気をつけて、少し大変かなと思う作業にも加わってもらうことにした。華奢に見えてはいるが、けっこうな力が出せることは、丸太小屋造りをしてみて初めて知った。MさんやKさんが来られないときは、二人ですべてをしなければならなかった。高所の作業もいとわず、重い物も運んでくれる妻の存在は、本当にありがたいものだった。 

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