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WEEKEND LOG LIFE

 2.土地に手を入れる

土地は手に入れたものの、ただの山林である。6畳大の小屋とはいえ、それなりの広さがいる。どこに建てるのがいちばんいいのか、まずは敷地内を歩き回ってみた。奥行きはないが、高低差がある分、立つ位置によってずいぶん感じが違うものだ。結論からいえば、小屋から杉木立がよく見える位置を選んだ。以前によく足を運んだ八ヶ岳の落葉松林を思い出させる光景が気に入ったからである。

気に入った場所は、スキーなら中級程度の斜面といったところだろうか。そのままでは、小屋どころか、まっすぐ立っていることも覚束ない。まずは、土地を平らにしなければならない。家から持ってきた、鶴嘴とシャベルを使って、崖を掘り崩すことにした。そうして出た土を下に積み上げ、斜面を平らにならそうというのだ。頭に描いた図面では、なかなかいいアイデアだと思った。けれど、やってみると、これがなかなか大変だった。

できるだけ立木を切らずに建てたいと思って、林の中でも木の混んでいないところを選んだのだったが、土の下には根があった。杉や檜の根は、深くは伸びず、地表面近くに、それも隣の木をはばかって、狭い場所に密集して生えていることをはじめて知った。鶴嘴を入れるたびに、根にぶちあたって、思うように作業がはかどらない。おまけに、柔らかな腐葉土とばかり思っていた土は、表面の数センチだけで、後は、石混じりの赤土だった。

それでも、何日か通っているうちに、少しずつ、平らな地面が増えてくるのは楽しみだった。その日も、朝から鶴嘴を振るっていると、山仕事に来たのだろうか作業着姿の男の人が声をかけてきた。
「そんなんじゃあ、はかどらんやろう。一輪車がいるなあ。」
なるほど、それもそうだと思った。次の日、一輪車を買った。なにしろ、畑仕事一つやったことがない。道具というものが何もない家なのだ。物置にあった古い鶴嘴も、使っているとすぐに柄が折れて新しいのを買ったぐらいだ。一輪車のおかげで、作業能率は格段に向上した。何より、作業に変化が出たことがありがたい。鶴嘴で崩す。シャベルで運ぶの単調なリズムに飽きが来ていたところだ。

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