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WEEKEND LOG LIFE

 13.窓と扉

 窓

ログハウスの窓には仕掛けがある。といっても特別に面白い開き方をする訳ではない。その取り付け方に秘密があるのだ。実は、ログハウスの窓は直接ログに固定されているわけではない。窓は、窓枠に固定されてはいるが、その窓枠がもう一つの木枠に止められているだけなのだ。その木枠の断面はT型をしていて、突き出た部分が、あらかじめ凹状に加工されているログの断面に噛み合うようになっている。

では、どうしてこんな面倒くさい仕掛けになっているのだろう。そのわけだが、丸太小屋という物は、建てた後、丸太自体の重みで、数センチも沈むものなのだ。分かっていただけただろうか。ログに釘を打っても、そのログとログの間が縮むのでは、釘が曲がり、建具に歪みが出るのは当然のこと。最悪の場合は、窓が開かなくなる。それを避けるために、はじめから垂直方向に溝を切り、ログの沈み込むのを受け止める工夫がなされているわけである。

まず、T型枠材の、ログに接する部分に断熱材を貼り、掛矢で、両側のログの溝に打ち込んだ。そうしておいて、今度は窓を受けるログの方にも断熱材を貼り、その上に窓(窓枠つき)を置いた。窓枠とT型枠材の間には指一本ほどの隙間が空いている。その四隅にくさびを打ち込んで、窓枠を枠材に固定していくのだが、このとき、窓の垂直、水平を確かめ、正しい位置に調整するのが難しかった。一方のくさびを打つと、窓枠は外側に押され、斜めになってしまうからだ。少しずつ、様子を見ながら、打っていくしかなかった。

窓が正しい位置に安定したところで、木ねじで、窓枠をT型枠材に固定した。この際まちがってもログにねじが届いてしまってはいけない。これで、窓は空中に浮いた状態で固定されたわけである。窓の上は、ログの沈み込みを予想して、5〜8p隙間が空いている。この隙間と窓枠と枠材の間に断熱材を充填した上で、窓額縁を取り付けた。額縁も、ログの沈み込みを考え、直接ログには打たず、窓枠とT型枠材だけに釘止めする。小屋の外側と内側から、窓の上、両側、下と化粧板を打つことで、窓額縁は完成した。これで、断熱材も隠れ、窓の風格も一段と上がった。

窓は、正面の扉の横に一つと、側面に一つずつ、そして、ロフトにも二つつけた。建具は、完成品なので、木枠の付け方になれると、思ったより早くできた。オプションで、網戸用の枠もつけてもらったが、網戸は、次の夏までにつければいい。真鍮製の取っ手が北欧風家具の雰囲気を出して、なかなかいい感じである。

 扉

扉の取り付けも、基本的には窓と同じである。理屈の上ではそうだが、実際やってみると、そう簡単にはいかない。まず、建具自体が大きいこともあって、木枠付きの扉はべらぼうに重い。倒れないように支えているだけでも大変である。窓と同じということは、これもくさびを使って宙空に固定しなければならないということだ。どうしろというんだ、と文句を言いたくなったが、相手は二人でしろとは言ってない訳だから仕方がない。何とかやるしかなかった。

まずT型枠。これは簡単だった。次に、扉の開口部の下端のログの上に木枠(扉付き)をのせた。正確な位置に置くだけでも力がいる。妻に支えてもらい、上の方のくさびから打っていった。まず右を、次に左側を打って、少し安定させることができた。それから、下の方のくさびを打った。案の定、下のくさびを打つと、上のくさびが抜けて飛んでしまった。扉には硝子が入っているので、倒してしまったら一巻の終わりである。冷や汗もので、何度もくさびを打ち直した。

もぐらたたきのように、上下左右を叩いているうちに、それでも少しずつ安定してくるから不思議だ。水準器を当てて水平、垂直をはかり、微調整をした。どこまでやってもきりがないので、これ以上は何度やっても同じ、と思えたところで、木ねじで止めた。試しに開けてみると。扉はすうっと開いた。上出来である。扉の取っ手は白木で、これは後から取り付けた。硝子の重さもあるのか、閉めるとバタンという重みのある音がする。

額縁を取り付けるのは、楽しい作業だった。釘は、錆びが出ないように真鍮釘を使った。その前にたっぷりと断熱材を詰めたのはいうまでもない。額縁は化粧の意味が強いが、断熱材の入った隙間を覆う役目もしている。フィンランド製ということもあるのだろうが、断熱材やシーリング材はかなり余裕を見て入れてあった。丸太の隙間は沈み込みのせいで自然に詰まってくるとしても、建具の隙間から風が入ったのでは、何にもならないからだ。

扉と窓ができ、雨の心配がなくなった。用もないのに、何度も開けたり閉めたりしてみた。扉と窓には鍵もかかる。ようやく家らしい格好ができたわけだ。これで、大事な道具も置いていけるわけで、ずいぶん楽になる。とはいっても、ここまで来るのに二年もかかったわけだが、その間何一つなくなった物はない。そういう意味では心配したことがないのだ。ただ、雨に濡らしたくない物が置いていけるのはありがたい。あとは、いよいよ床を張るばかりになった。
(1994年10月10日)  


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