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WEEKEND LOG LIFE

 19.山の植物

 ササユリ

ササユリの写真が入ります。杉林の中は、小屋の建っている辺りを除けば、あまり日が射さない。その杉の木の根元にひっそりと咲くのが、この花である。細い茎の上に紡錘形をしたつぼみがつきはじめると、次週の訪問が楽しみになる。真っ白い中に薄紅色が仄かに浮かぶ花の様子は、清楚な少女が野辺に立つ様を髣髴させる。

 オカトラノオ 

白い小さな花房の集まりが、尾のように見えるからその名がついたのだろうか。敷地と林道の境界、日当たりのよい風の抜ける場所を好んで咲くようだ。周りの草も濃い緑色に染まる頃、真っ白な花は目を引きやすい。山野草には、あまり鮮やかな色合いの花は多くない。どちらかといえば、淡い色の花が多いように思う。

 コアジサイ

これも杉の根方にこんもりと小さな茂みを作っている。6月になると、小さな花が一斉に開き、ぼんやりとかすんだ薄紫の雲のような花が其処此処に浮かび上がる。暗い森の中に棚引く紫雲のような花は夢のように美しい。紫陽花特有の葉も光を受けて様々な緑の階調を作り出し、葉もまた花の一部であることを再認識させてくれる。

 ウツボグサ

杉林と谷川の間を通る林道を少し下りると、里に出る。7月頃、散歩していると、村人が苗木を育てている休耕田に至る空き地に群生していた。「靫」(うつぼ)というのは、矢を盛って腰に背負う用具である。茎に密生している毛や、花の独特の形状からの連想であろう。うまく名付けたものだと思う。

 ヤマジノホトトギス

ホトトギスという花は知っていた。よく似ているから、その仲間だろうという見当はついた。けれど、ホトトギスに限らず、花というのはよく似た別の種を持っているものだ。よく似た花で、ヤマホトトギスという花もある。花被片が反り返っているところで区別できる。名の由来は時鳥の胸の斑紋に似た斑から来ている。ベランダのすぐ下に咲いていた。

 リンドウ

秋の頃、林道の道端に数個の花がかたまって咲いていた。紫色をした釣鐘状の花の形は蛍袋にも似ているが、こちらは上を向いて咲いている。よく見ると、あちこちによく似た花の塊が見つかる。試みに一株を持ち上げてみると、繋がっている。同じ株なのだ。子どもの頃、白装束のヒーローがいた。「笹竜胆」といった。

 マムシグサ

日の射さない杉林の中に、ひときわ異様な風体をした花が顔を出すのは初夏の頃である。蒟蒻の仲間と知ってはいるが、不思議な花もあるものだ。茎を包む皮の部分の色模様から名付けられたのだろうが、花自体も鎌首を擡げた蛇のように見えなくもない。晩秋になると、花は枯れてなくなり、その後に玉蜀黍状に鮮やかな赤い色をした実を生らす。その実の色もまた、毒々しいほどで、他の草花を圧し去る。その強烈な存在感故に、毎年顔を出すのを楽しみにしている花の一つである。

 コマツナギ

林道を下りたところにある休耕田の中に咲いていた。茎の強さから、馬(駒)を繋いでもよいほど強いところから名付けられたという。日当たりの良いところを好むのだろう。林の中には決して咲かない。夏の日差しの中、虻や、蝶が花から花へと飛び回っていた。日陰に咲く花とは違った明るさが好ましい。そうは言っても湿った林の中に咲く花には、別の魅力があることは否めない。ここに挙げた他にも、花筏やキイチゴなど、花とは言いがたい植物も目を楽しませてくれる。写真が撮れたら、随時採り上げていきたいと考えている。 


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