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WEEKEND LOG LIFE

 10.壁積み(2)

 足場

壁の高さが身長をこえるようになってくると、足場がなくては作業ができない。MさんとKさんからそれぞれ一脚ずつ脚立を借りてはあったが、1辺のログを置くたびに脚立を移動するのは大変だった。作業を見に来てくれた左官の大西さんにそのことを話すと、
「うちに余分な脚立があるからよかったら使いな」と言って足場用の板つきで貸してくれた。

それまでは、足場用の板もログを梱包してきた板を何枚か重ねて使っていたので、真ん中に来るとしなって、よく揺れた。本職の使う板は、厚さもあって、少々のことではぐらぐらしない。作業がぐんとはかどるようになった。大西さんにはこの他にも、掛矢も借りた。買ったばかりの自分の掛矢が途中でどこかに紛れ込んでしまったからだ。

ログとログをダボでつないだ後は、その上に、スポンジでできたシーリング材を貼っていく。どうしてもできる隙間を埋めるためだ。足場がしっかりすると、こうした横移動が身軽にできるようになった。それまでは、おっかなびっくりで片手をログにあてながら動いていたのだから、両手が使えるのはうれしかった。掛矢を振り下ろす手にも力が入るようになった。

 開口部


7層目から、窓の開口部が始まる。本来の丸太小屋造りでは、まず、全部丸太で組み上げてから、ここと思うところをチェーンソウで切り取っていく。しかし、キットでは、そうはいかない。建具の寸法が先に決まっているからだ。そこで、かなり無理がある方法だと思うが、窓の開口部を切り取った、短い部材をダボで緊結していくことになる。ログが、きっちりはまるのは、両サイドのノッチがかみ合うからだ。片側だけのかみ合わせでは、どうしたって、中央部が上がってしまいがちになる。ダボをきつめに打ち込むことで、何とかごまかしたというのが本当のところだ。

15層目でやっと、端から端まで1本のログに戻る。このログで窓と扉の開口部にはさまれた短いログを安定させることができた。それでも、他のログと比べると、いくらか上に浮いている感じがするのは否めない。けれども、ログは、長い間に少しずつ沈んでくる物である。一年も経った頃には、この浮いた部分もなじんでくることだろう。

 配線

ログを全部組み終わってから、電気の配線をすると、線が露出した、昔の田舎屋みたいになってしまう。それも、まあ悪くはないが、できることなら、すっきり見せたかった。ログハウスというのは、ログでできた壁一枚が、外壁でもあり内壁でもある。配線を見えなくするのなら、ログの中を通すしかない。そんなわけで、ログには、前もって通し穴が数カ所通っている。その穴を使って、思ったところに横穴をドリルで開け、スイッチやコンセントをつけるというわけである。

しかし、これがなかなか面倒だった。なにしろ、電線は地下を通って来ているから、一段ログを組む度に、電線を最後に引っ張るためのビニール線を通していかなければならない。配電盤用が一箇所、スイッチが一箇所、コンセントが2箇所、電灯用が一箇所と、都合5本のビニール線を通してはログを乗せていくのだが、何回に一回かは忘れることがある。すると、せっかく上まで担ぎ上げたログをまたはずして、初めからやり直しだ。これは気の滅入る作業だった。

腰より低いうちは、まだいい。肩より高い位置にログを上げるのは重労働である。一人が足場の上で一方を支え、もう一人が、肩にログを担いだ格好で、足場の上に登らねばならないのだ。せっかく上げたログをまた下ろすほど、腹の立つことはない。しかし、ノッチングをしながら組んでいく場合は、いやでも何度も乗せたり下ろしたりをしなければならない。それを考えれば、これくらいは我慢しなければならないだろう。 

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