'98年8月26日名古屋空港から、預けたスーツケース1つにリュックサックとポーチという手荷物で、ここクロアチアに辿り着きました。ルフトハンザ航空、フランクフルト経由です。大学3年になる前の春休み、母とパリに行ったのが初めての海外旅行で、2度目の海外がいきなりクロアチア、しかもひとり旅。。かなりの覚悟と不安・緊張でいっぱいでした。
飛行機の中では、隣りの方と仲良くなり、話がはずんで、あっという間にフランクフルトに着きました。フランクフルトまでは日本人ばかりでまるで日本国内を旅行しているような感じだったのが、ザグレブ行きのゲートに行くと、日本人はもちろん東洋人は見当たらなくなります。人もまばらで何とも寂しく、がっしりした体格の人たちが座って待っています。乗り換えの飛行機は、小さいプロペラ機で、飛行機の窓からの景色はドイツの可愛らしい街の景色からごつごつした茶色や灰色の岩山へと変わっていき、やっぱりとんでもないところに来てしまったかもと、ちょっと不安な気持ちになってしまいます。更に、窓から見えるザグレブ空港は小さく軍事基地のようなイメージで、もっと不安が募っていきます。
ザグレブ空港に着くとみんな大声で(クロアチアの人たちの話し声は本当に大きい)わいわいがやがや、急に明るくなり(やかましいぐらい!)、急に世界が変わった感じです。何というか野生の王国というイメージ。(今ではすっかりもっといいイメージに変わってますが、当時は、何しろ、言葉も分からないし、不安・恐怖感からそんなイメージを持ったのです。。)緊張の入国審査(パスポート・チェック)を終え、スーツケースも無事に受け取り、さて誰が一体迎えに来てくれているのでしょう。。。?空港に、アカデミーから誰か迎えが来ることになっていたのです。果たして本当に待ってくれているのでしょうか??
ひたすら信じるのみ、入国の最後の扉が開くとすぐに、Ms.YOKO NISHIIという紙を持った男性とその友人と思われる男性2人の計3人が目に止まりました。念のため、ざっと周りを見回しましたが、ほかにそれらしき人は見当たらず、これは確かだろうと信じて直行したのですが、こちらが挨拶すると同時に3人がいっせいにわーわー挨拶だか何だか話しかけ始め、何を言ってるんだかさっぱり分からなくて困ってしまいました。私は英語、彼らはクロアチア語オンリーで、お互い、全くチンプンカンプンなわけです。
でもまあ、お互い、自己紹介してることぐらいは分かるもので、ひたすら信じて車に乗り込んだわけですが、一人が運転し、私は助手席、後ろに2人というかたちで、ドライブが始まりました。3人とも言葉が通じないと判明したにも関わらず、延々と果敢に話し掛け、すごい大声でガハガハ笑い通し、こちらは狼の国に来てしまったよという気分です。(3人は親戚同士だったということが1年後に偶然分かりました。その後、この運転して下さったおじさんには本当にお世話になり、親戚じゅうに紹介して下さって、家族のような扱いをして下さっています。)
途中で、2人を降ろして、運転手と私だけになり、3時間弱のドライブが続きました。トイレ休憩の場所で、何を飲むかと聞いているらしいのですが、メニューを見てもはてな??、何が飲めるのかも分かりません。ジュースとか何とか言われるがまま頷くだけです。
で、またまたドライブ続行。なにしろ14時間近く飛行機に乗ってきた後、しかも日本時間では真夜中かもう明け方、疲れと睡魔との闘いが始まり、しばらく緊張を保って眠らないように頑張っていたものの、しまいに眠ってしまいました。。。
目を覚ますと、暗くてよく見えないものの、景色・街の雰囲気がなんとなく変わっていました。でも、あとどのくらいなのか、どんなところに連れていかれるのか、言葉がイエス、ノーすら通じないので、知る由もありません。疲れの極致。早く目的地に着けばいいなと願いつつ、夢か現かという状態。。。
そのうち何やら、指を指して「アカデミア」とか言うので着いたのかな?と思うと、さらにすごい坂を登り、どうやら到着した様子。うすいピンク色の壁に囲まれた4階建ての小綺麗な建物で、寮はとても汚いと聞いていたため寮とは思えず、アカデミーかな??とも思ったのですが、着く前に、違う場所を「アカデミア」と指差していたこともあって、一体どこに着いたのか分からないまま建物の中に案内されました。。。
まず、管理人のおじさんに紹介して頂き、握手です。どうやら中の雰囲気から寮らしいということが分かり、階段を上って4階の部屋に通された後、小さな男の子と女の子がお盆にパンとチーズとハムとジュースを載せて、持って来てくれました。が、時刻は夜の10時頃、一体、夕食なのか、明日の朝食なのか、それとも1週間分の食料なのか、さっぱり分からず、どうしたものか途方にくれてしまいました(しかも、チーズとハムはかなり苦手!)。寮なら廊下の両端にトイレとシャワー室があるはずと、見に行くと、聞いていた通り、男女共同のトイレとシャワー室がありましたが、聞いて想像していたよりもずっときれいで、ちょっと安心しました。入れられた部屋にはベッドが2つ置かれており、もう一人来るんだろうかとずっと心配で、しばらく安心して眠ることが出来ませんでしたが、究極に疲れていることもあり、いつの間にかぐっすり眠っていました。。。