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From Russia with lag

ネヴァ川

 TASHKENT

出発は遅れた。いつの間にか眠っていたらしい。離陸時のエンジン音で目を覚ました。飛びさえすればそれでいい。そのまま、また眠りの中に入っていった。

ウェルカムドリンクで起こされた。赤ワインの入った透明なプラスチック製のグラスには生意気にも足がついていた。揺れる機内では、ちょっと不安定だ。妙なところに凝っている。食事は、ソースをからめた牛肉の横にライス添え。ドレッシングの醤油味といい日本からの客を意識した味付けである。

今回の航空会社は、ウズベキスタン航空。ハブ空港はタシュケントだ。そこで三時間、サンクトペテルブルグ行きを待つ。タシュケントまで八時間、サンクトペテルブルグまではそこからまだ五時間かかる。約十六時間。以前は日本からモスクワまでの直行便が出ていた。モスクワでトランジットをしたこともある。テロ以来、海外旅行客が減り、直行便を出すところまで回復していないのだろうか。

ボーイング747は、両方の窓際に二席、中央が四席という座席配置。国際線にしてはかなり小さ目だ。週一回しか飛ばないはずだが、それでも空席が目立つ。テレビ画面も小さく、それに合わせたかのようにプログラムも古かった。ベン・スティラーがデ・ニーロと共演した喜劇は前にも見たが、ベンは好きな俳優なので、また見てしまった。『ズーランダー』で共演していたオ−エン・ウィルソンとは、『ロイヤルテネンバウムズ』も含め、これで三作顔を合わせている。よほどウマが合うのだろう。

タシュケント到着は現地時間で午後二時三十分。五時間の時差があり、日はまだ高い。ウズベキスタンはアフガニスタンに国境を接した中央アジアの西寄りの国。その暑い国の日盛りだというのに、一度着いた空港ビルに入れてもらえず、結局再びバスに乗って、新しくできた待合室に向かう。しかし、そこも扉は閉まっていて、乗り継ぎ客はわずかな日陰を分け合うようにして立っている。

滑走路にあるのはスカイブルーのペイントが目立つウズベキスタン航空の飛行機ばかり。空港の真ん中にコンテナが二つ置いてある。作業員の休憩所だろうか。屋根にはテレビのアンテナが立ち、戸口には鉢植えも見える。のどかな風景である。ついこの間、イスラム過激派のテロがあったところには見えない。空には薄雲が糸のように走っている。32度と、気温は高いが、空気はさわやかだ。上着の袖を通る乾いた空気に日本を離れた実感が湧いてくる。

搭乗手続きにも時間がかかった。係員が一人しかいないという理由で延々と待たされる。三時間たたないと飛行機が飛ばないことを知っているから、気長に待っているが、今までの旅ではなかった経験だ。いよいよ旧ソ連の一角に入ったという感がひしひしと伝わってくる。機内、空港とも撮影は禁止。軍事機密などありそうにもない空港や飛行機だが、テロを警戒しているのだろうか。


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