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DAYS OF COPEN

 2007/5/3 洞川温泉

連休も後半に入った。はじめから遠出は考えていないが、せっかくの四連休だ。いつもよりは遠くに出かけたい。南への道はこの間走ったばかりなので、混雑する北を避けるとなると、西しかない。東?東には海が広がっている。

予報では一日中晴れている日は3日だけだ。国民投票法案が可決しそうな危急存亡のとき、しかもその憲法記念日に物見遊山に出かけるというのもどうかと思うのだが、天気には勝てない。ここは良心に目を瞑ってもらって出かけることにした。もちろん、オープン走行である。夏物の衣裳缶の中から白い半袖のTシャツとインディア・マドラスの長袖シャツを引っ張りだした。

行き先は天川村にある洞川(どろがわ)温泉。日曜日にあったMCCオフ会で話題に出たばかりのピリ辛蒟蒻やら、こばしの焼き餅に食指が動いた、というわけでもない。人出の多いGWだけに、ひなびた田舎の温泉に心ひかれるものがあった。六日の菖蒲、十日の菊の喩えもある。桜の季節が終わった吉野路なら道は空いているだろうという心づもりである。

ナビの見つけてきた道はまっすぐ真西を指している。所要時間約5時間。高速を使わずひたすら下道を走る。往路は妻の運転である。まずはR42を勢和村まで、そこからR166で高見トンネルを抜け、鷲家から県道16(伊勢街道)に入った。以前は大宇陀から南下したが、新緑の季節、いっせいに芽を吹き出した早緑の下、旧街道の雰囲気を今に伝えるこのルートの方がより趣深いものがあるように思った。

窪垣内からR370に乗り、吉野川沿いの道をひたすら走る。川の水量は少なく、砂が堆積した広い河原は連休の間、近場でハイキングやバーベキューを楽しむ家族のための大駐車場と化していた。キャンプの用意をした人たちは適当な場所にテントを張り、それぞれの連休を楽しんでいるようだった。道路脇にはちべぇさんお薦めの餅屋の看板も発見。行列のないところを見るとすでに売り切れか。反対車線のため、帰りに確認することにして通り過ぎる。

岡崎でR309に入り、川を渡る。時代に取り残されたような街並みが道の両側に迫る。下市を抜け、黒滝に出る。お目当てのピリ辛蒟蒻は、道の駅にあるそうだが、これも帰りに寄ることにして先に進んだ。梅林を過ぎ、トンネルを抜けた。長いトンネルの向こうには餃子の美味いラーメン屋が今も営業していた。昼食は途中ですませてきたので、ここもパス。

観光案内所のある川合で以前は右に入ったところを左折して洞川に向かう。道幅が狭くなり、山道のようになった。秘境ムードは満点である。小さな橋のたもとに木の香も新しい料理屋があった。コペン仲間の教えてくれた店である。挨拶は後にして、橋を渡った。こんなところにと言っては悪いが、山間の集落にしては立派な大通りが通っている。二階建に出格子をつけた旅籠風の店が軒を連ねて両側に迫る。

後で知ることになるが、川の向こう岸には大峰山龍泉寺という修験道で知られる名刹があり、その講中が常宿にしているのが、この洞川温泉なのだ。どの旅館にも何々講の名前が白墨で書かれた板が何枚もかかり、行者装束に身を固めた参拝者がそぞろ歩いている。早々と浴衣に着替えた客も、通りの土産物屋をひやかしに来ていた。昔懐かしい射的の店まであって、タイムスリップしたような心地がする。

長く伸びた宿場町を通り過ぎたが、目指す洞川温泉らしきものが見えない。案内では天の川温泉とよく似た素朴な造りのように見えたのだが。旅館にも当然温泉はついているだろうが、宿泊客ではない、ふりの客には敷居が高い。引き返して下まで降りてきて、はじめて村営駐車場の向こうにそれらしき建物が見えた。

当然ながら、古くからある温泉街に新しい村営温泉施設を作ることはできない相談である。川沿いの新開地しか用地のないことに早く気づくべきだった。温泉利用客には1時間無料の駐車場に車を停め、玄関を開けた。登山客用の温泉程度の小さなホールとロッカーではない昔風の下駄箱が待っていた。

貴重品を入れるロッカーに財布を入れて、それぞれの脱衣場に入った。脱衣場にもコイン式ロッカーはなく、銭湯と同じゴムバンドのついた鍵つきのロッカーが並んでいた。600円というのは、日帰り温泉としては普通の料金である。それにしては施設設備に金がかかっていないなと思った。吉野杉を使った内湯にはジェットバスがついていた。泉質は無色透明のアルカリ性温泉。くせのないさらっとした湯だ。26度というのだから沸かし直しているのだろう。露天には屋根がついていたが、温度はぬるめだった。

ちゃんとした温泉気分が味わいたかったら、旅館に泊まれということなのだろう。湯治場風の趣をのこした和風の宿もたくさんあった。外湯めぐりの鑑札も用意ししているようだから、宿泊するのも悪くないかもしれない。ただ、どの宿も団体参拝客中心といった感じが強いので、個人客の居心地がいいかどうかは分からない。しかし、灯ともし頃のここの雰囲気はちょっと味わってみたい気がした。

写真を撮る間、妻の車から降ろしてもらった。ほんの少しのつもりが、路地づたいに橋に出て、対岸にまで足を伸ばすうち、車とはぐれてしまった。温泉街に戻ってしばらくすると、コペンが下から上ってきた。対岸の寺で落ち合う約束をして、分かれた。

大峰山龍泉寺は、山懐に抱かれるようにしてひっそりと建っていた。み寺の甍越しに散り残った山桜が数本。その上にかりがね橋という吊り橋が心細げなくらい小さく見えている。裏山を少し登ると、吊り橋に出た。妻は、こわがって渡らないので、途中から引き返してきた。二十分も歩けば鍾乳洞がみられると看板にはあったが、すでに三時は回っていた。往復の時間を考えると、無理がある。今回は止しておくことにした。

コペン仲間のお店に挨拶だけして帰途に着いた。ピリ辛蒟蒻は道の駅よりひとつ手前にある土産物屋の方が美味かった。売り子が若かったからいうわけでは決してない。餅屋は定休日で休んでいた。餃子の持ち帰りは匂いのことを考えるとコペンでは無理。そんなわけで後は来た道をひたすら走った。帰りはもちろん運転させてもらった。何度か前の車に道を譲ってもらったおかげで、通常なら5時間はかかるところを大幅に時間短縮して帰ってきた。長湯をひかえておいたので、睡魔に襲われることなく無事我が家に到着した。久しぶりに走ったという実感が残るドライブであった。

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