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DAYS OF COPEN
道の駅「美杉」駐車場

 2007/3/29 春谷寺

仕事にきりがついたので、休みをとることにした。桜でも見に行くかと調べてみると、県内の桜はまだ咲き始めたばかりで、今満開なのは粥見町は春谷寺境内に残る樹齢四百年を数える江戸彼岸桜だけらしい。思案しながら、朝刊を開くとそこに春谷寺の桜の記事があるではないか。こういうのをシンクロニシティの発現と考えるか、単なる偶然と考えるかは、その人の気質にもよるが、なんだか肩を押されたみたいで、こうなったら行くしかないかと思った。

桜のトンネルをくぐるならオープン・カーだろう。この間買ったLEEのブラックジーンズに黒革のドライーバーズジャケットを合わせた。こうなると帽子も黒革で揃えたいところだが、今はないのでお揃いのNIKEのロゴ入り野球帽をかぶった。車嫌いのニケは一緒に乗れない。せめて名前だけでもと買ったやつだ。

相変わらずナビは春谷寺を知らなかった。とりあえず粥見町まで走ってそれから探すことにした。五桂池の近くまで来たときだ。妻が運転を代わってほしいと言い出した。偏頭痛の前駆症状が出たらしい。視界内に光の輪が浮かぶのだが、その時点で薬を飲むと頭痛は治まるのだ。42号線沿いにあるコンビニに車を止め、お茶で薬を流し込んだ。

粥見まで来たが、春谷寺がどこにあるのか分からない。通りすがりの人に聞いてやっと道が分かった。言われた通り行くと、なるほど道路沿いに小さな看板が出ている。始めは見過ごして、バックして再確認した。矢印の方へ左折すると古い鉄の橋が見えた。橋を渡り、山の方に入っていく。狭い坂道を分け入った行き止まりに人集りがしていた。新聞に出たせいか、それとも常連か、カメラ用の三脚持参の人も多い。

ようやく一台分空いたスペースに駐車するとカメラ片手に外に出た。写真では老樹だけが紹介されていたが、坂道に沿って植えられた若い桜が今を盛りと咲いていた。それぞれ色がちがうから、一種類の桜ではないようだ。もみじではないが山の麓の裾模様。春めいた装いだ。早々と花の下でお弁当を広げているグループも二組ほど。山間の里の花見は、まるで掛け軸の画中にいるようだ。

天然記念物に指定されている樹齢四百年の江戸彼岸桜は、どうにか生命をとどめている老人のようだった。幹のうろになった部分をセメントで埋められ、その上から細々とした枝が曇り空に伸びている。その枝に薄墨色の桜の花びらがしがみついていた。次から次と来る人が絶えず、駐車場を独占するのもよくないと思い、数枚の写真を撮って、その場を後にした。

まだ早かったので、仁柿峠を抜けて曽爾高原まで行ってみることにした。休日は混雑するお亀の湯も平日ならゆっくり入れるだろう。温泉だけではなく道も空いていた。昼なお暗い林道もすれちがう相手がいなければ、運転は楽しい。シフトをマニュアルで固定してステアリングに集中した。シート位置が低く回転半径の小さいコペンはこういう道がいちばん面白い。

お亀の湯も男湯と女湯が日替わりらしい。はじめて入る「岩の湯」は、建物でいうと裏側にあたる。洗い場は狭いが、源泉かけ流しの浴槽が広いのと温度が高めなのが何よりだ。それとサウナの窓から外の景色が見えるのが開放的で気持ちがいい。露天は広いが、山が迫っていて圧迫感がある。「木の湯」の方が景観が開けていて気持ちがいいように思う。

着替えて出ると妻が待っていた。今日は、こちらの方が長湯したようだ。妻の偏頭痛は強い緊張が続いた後、リラックスすると出るらしい。狭い血管に急に血液が流れこむから痛いのだそうだ。ここ二年ほど気の抜けない環境にいたのだが、それもあと二日で終わる。気がゆるむのも無理はない。温泉で少し楽になったのか、さかんに「眠い」を連発する。運転は任せて助手席で眠っていけばいい。

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