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DAYS OF COPEN

 2006/5/14 つつじ祭り

HCC、五月のオフ会は、ダイハツ自動車竜王工場で開催される「つつじ祭り」会場だった。滋賀県にあるこの工場では、毎年つつじの咲くこの時期に、工場を開放して「つつじ祭り」というイベントを開いている。HCCの仲間には、ダイハツ自動車に勤務している人も何人かいるので、この時期、どうせやるならここで、ということになったらしい。

前日、土砂降りの中を147で大阪まで走っているので、二日続けての遠出はちょっときつかった。運転はもちろん妻まかせだが、助手席に座っていても、生欠伸が出てくる。昨日は大事な用件で人と会うことになっていた。あまり緊張する方ではないのだが、肩に力が入っていたらしい。緊張がほぐれたせいだろう、今朝になって疲れがどっと出てきた。

あいの土山でオープンにしたあたりから、少しずつ生気が戻ってきたようで、会場の滋賀第二工場に着いた頃には、すっかり復調した気分だった。約束の11時までには半時間あったが、祭りはすでに始まっていた。受付で工場内を周遊するバスの予約券と抽選券を受けとり会場内に入った。工場の前に赤と黄色のコペンが展示されているのが見えた。その前に、見覚えのある顔を見つけた。ハリーさんだ。

二台のコペンは発売間近の1300CCのエンジンを積んだ新しいコペン。赤が海外向け仕様、黄色が国内向け仕様車だ。エンジン以外はボディサイズも外観も従来のものと何も変わっていない。ただ、転倒時ドライバーを守るために国内ではオープン・カーに義務づけられているロール・バーが、海外向け仕様車にはない。その分シンプルな印象を受ける。

内装に至ってはもっとシンプルである。国産がレカロのシート、MOMOのステアリングを標準装備しているのに、海外向けはダイハツのロゴ入りのステアリングに黒いファブリック地のシートと、あっさりしたものだ。メーターが220キロメートルまで刻んであるのが、現行のものとはちがう。現行の660はターボつきだが、1300は自然吸気という、エンジンの違いは大きいだろう。税金のことを考えなければ、同サイズのボディに二倍の大きさのエンジンを積んだ新モデルは魅力的だ。

HCCの集団が到着したというので、妻は駐車場に出迎えに行った。みんなまとめて駐車するために車を移動するらしい。その間、屋台の出店をひやかして歩いた。焼きそば、フランクフルト、カレーと何でもある。食堂がないと聞かされていたので、コンビニで弁当を買ってきてあったのだが、暖かいものが食べられるなら、屋台の方がよかった。しかも、どれも値段が安い。近江牛のコロッケは一個60円。焼きそば、カレーが200円だ。

食指が動いたのがヘルシーを売り物にするダチョウの串カツ。これは350円と、ちょっと高めだった。携帯が鳴り、妻はしばらくあちらでお喋りをしているとのことなので、コロッケと焼きそばを買ってひとりで食べた。ステージでは、工場のブラスバンド部のメンバーで構成されたバンドがジャズやラテンっぽい曲を演奏して祭りを盛り上げていた。昨日の雨がうそのような上天気で、会場内は近くに住む人たちが子ども連れできているのだろう、しだいににぎわってきていた。

バスの予約時間が近づいた頃、妻が帰ってきた。以前一度お会いしたきりだが、ふとしたきっかけで「蒼穹の回廊」のBBSに来てくれるようになったいぐあすさんとも再会した。首には、前回と同じように今回も名前を書いたカードがホルダーで吊されている。初めての相手が名前を覚えて呼びやすいだろうという配慮だ。いかにもパーティーの多い海外経験豊富ないぐあすさんらしい。

Abraxasという名前は、説明抜きでは覚えてもらうのも読んでもらうのもむずかしい。コペニストの間ではニケパパで通しているのだが、「蒼穹の回廊」常連のいぐあすさんには何と名乗ったらいいのか、一瞬躊躇してしまった。結局「こんにちは。」と型通りの挨拶をしたのだった。自分の車ではないのでコペニストの集まりでは、一人さみしい思いをしていることが多い。以前はジュリアに乗っていたいぐあすさんとは、アルファロメオの話ができるのがうれしい。

バスの発車時間が来たのでみんなで乗り込んだ。これが今回のメイン・イベント。工場の敷地内を見学するだけでなく、ふだんは工場内でも関係者以外立ち入り禁止のテスト・コースをバスで試走できるという特典付きなのだ。広いテスト・コースは、外部から見られないように壁で遮断されている。田宮二郎主演の『黒の試走車』という映画を思い出した。

ハンドル操作なしで時速180キロメートルまで出せるようにカーブには傾斜角45度のバンクが設けられている。そこを今日は時速120キロで走るという。バスでバンクを走ったらどうなるのか、わくわくしながらコースに向かった。コースは低速から高速まで四つのコースに分かれている。直線コースからカーブに入る。最初は一番下のコースなので、たいした変化はない。

スピードを上げながら次のコースに入った。「うわあっ!」と、みんなの声が上がった。経験したことがない人には説明がむずかしい。平衡感覚が失われたような感じとでも言えばいいのか、擂り鉢状のバンクに突入した時点で、地面が左手に斜めに立ち上がり、空が右側に傾いた感じになる。前方と後方には灰色のコースが立ちはだかって、まるで、USJのアトラクションの中にでもいるような非日常的な感覚に襲われるのだ。

アンコールにおこたえしてもう一度、さらにグループ内に工場関係者がいるということで、内緒ながらもう一度と三回もバンクを体験させてもらった。左回りの周回コースで競い合うストック・カー・レースはヨーロッパよりもアメリカで人気があるが、トム・クルーズ主演で映画にもなっている。映画でしか経験できないと思っていたバンクの感覚を実際に味わうことができて、これだけでも今回のオフ会は来た甲斐があったというものだ。

昼食は、いぐあすさんと一緒に弁当を食べた。掲示板への書き込みで、同世代ではないかな、とお互い感じていたが、昔の映画の話や、車の話、海外での生活の話といくら話しても種が尽きなかった。ふだんのオフ会では、話さないようなことまでよく話した。やはり、オフ会というのはONがあってのOFFなのだ。コペン仲間とは、オフでしかつきあいがないので、話が弾むはずがない。初めてオフ会らしいオフ会を経験させてもらった気がする。

信楽にある多羅尾温泉に向かうHCCのメンバーと分かれて、家に帰った。さすがにせっかくの休日を二日間とも日が暮れて帰ったのではニケもおこるだろう。それより、明日からの一週間を思うと、少しは休みたいというのが本音だ。疲れていたせいか高速に乗る手前で眠り込んでしまった。明るい陽差しに目を覚ましたときには左手に伊勢平野が広がっていた。

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