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DAYS OF COPEN

 2006/2/25 春の海

週末だというのに憂き世の義理で朝から顔を出すところがあった。半日はつぶれるのを覚悟したが幸い10時にはかたがついた。家路を急いでいると燃料が残り7リットルになったことを示すサインが出た。橋詰めにあるスタンドは窓拭きのサービスがない分料金が安い。濡れタオルは貸してくれるので給油中に自分で拭く。全部の窓を拭き終わるころ給油完了。50リットルは入るので、財布がすぐ軽くなる。石油価格高騰中の時に外車など買うものではない。

それにしてもいい天気だ。すっかり春めいた陽気に誘われてどこかを走りたくなった。147は絶好調だが、この日射しを浴びて走りたい。花粉症の徴候が出はじめているだけに、オープンで走れるのは今をおいてない。少し疲れ気味の妻には助手席でがまんしてもらうことにして、久しぶりにコペンのハンドルを握った。

日教組の大会が開催中とかで県の北部は街宣車が煩いらしい。南に走ることにした。春物のセーター一枚で上等の気温だが、風よけにこの間買ったばかりのスウィングトップを羽織った。ドッグイヤーの襟を立てれば首周りがあたたかい。ドライビンググローブを手に、いざ出発。上からの日差しを受けて車の中は暖かい。花粉さえなければ最高の季節なのだ。23号線を走り、五十鈴川を渡った。伊勢道路を抜けたら向こうは志摩市だ。

まずは鵜方のエドイチで昼食。コペンでも前をこすりそうな店の前の急坂がこわくて147ではこれない。タンシチューの味と飾り気のない店の様子が有名だが、椅子は錆の出たパイプ椅子、テーブルクロスは安いビニール製。いくら味だけで勝負といっても近頃こんな店は他にない。それでもいつ来ても客でいっぱいなのだから世の中には変わった人が多いのだろう。

メニューを見るとタンシチューの上に真新しい紙が貼り付けてある。また値上がりしたらしい。いろんな雑誌に採り上げられるようになっても店の内装を変えないのは心意気だと思うが、タンシチューの値段は昔と比べるとずいぶん高くなった。先代シェフと二人で店をやっていた奥さんはもう80歳はこしただろうか、このお婆さんあってのエドイチである。体は元気そうだが、水を出し忘れたり、注文した客を忘れたりと、少し記憶の方が覚束なくなってきているようで心配だ。

坂を下った前の道を来た方向と反対の方に進むと浜島だ。左手に海岸線を見ながら少しドライブする。大矢浜というところで堤防が切れ、砂浜へ道が続いていた。褐色に近い砂は硬く、普通の車でも走れそうだった。そろそろと水辺近くに車を進めながら、どこかで見たような光景だと思い返していた。何かのイベント会場のようにパイプの足場が組まれている。近寄ると、「海の家」と書いてあった。

車から降りて、砂浜を歩いてみた。海側から車を見てはっきり思い出した。車がムスタングなら、ライトを点滅させたいところだ。クロード・ルルーシュの映画「男と女」に出てくるドーヴィルの海岸に似てたのだ。気だるいスキャットのヴォーカルがよみがえった。「男と女と車があれば映画はできる」という名言を吐いたのはゴダールだったか。まさにその言葉通りの映画だった。

浜島漁港にそって流していると、入浴料300円という温泉があった。少しくらい魚臭くても天然温泉なら入ってみたいが、今日は妻の体調がもう一つなので、グッズの用意がない。またいつか来ることにした。漁港を通り過ぎると道が俄然広くなった。260号線は国道である。道の左手には南張の海が見えてくる。ここまで来ると熊野灘。黒潮の海である。さすがに暖かいのだろう。磯笛トンネルの手前の梅林には白梅が咲きはじめ、梅の香が車の中まで入ってきた。

田曽浦を越えると道は葛籠折りの山道になる。対向もめったに来ない山道はライトウェイトスポーツカーを駆る楽しさを満喫させてくれる。腕が交差しそうになるくらい右に左にステアリングを切って走り抜ける。潮風を感じて走るのは本当に最高。神原トンネルを出たところで県道16号に乗り、磯部に出る。そこから、もと来た道を通って帰るというコースは、山あり海あり峠道ありというコペン乗りにお薦めのドライブコース。次回のオフは海の家「マンボウ」に決まっているから、その次あたりどうだろうか、と考えている。

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