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DAYS OF COPEN

 2006/2/21 オープンな暮らし

日曜日は、のたりさん主催のMCCオフ。パールロードの展望台に11時集合とだけ決まっていた。食事のできる集合場所と時間だけは世話をするが、あとは特に何も決めず、あつまってきた人は、まったりと車の話に興じるだけ、というのがMCC(まったりコペンクラブ)のお約束である。来れる人があつまって、いられる時間だけいればいい、というきわめてルーズな集まりは、会則だとか参加表明だとかいう面倒くさいことがきらいな仲間にはありがたい。

ゆっくり新聞を読んでた妻は11時前になってから洗車ウェアに着替えはじめた。
「今から洗うの?」
「おそいかなあ?来週にしようか。」
近くにいるものばかりのプチオフだから、そんなに気にしなくてもいいが、どこにも走りにいかず、ひたすら車の改造(笑)について話す会である。ピカピカの車の中に一台だけよごれた車を並べるのは悲しいものがある。手伝って洗ってしまうことにした。こんなとき、小さなコペンはありがたい。あっという間に洗い終わった。

「お昼はどうするの?」
「あれ、あなたはいかないの?あそこで食べるんだと思ってた。」
どっちでもよかったけど、コペンオーナーの中に別の車のオーナーがまじっているのはなんとなく居心地がよくない。少しくらいならつきあってられるが、走りに行かないまったりオフは気詰まりなところがある。しかし、どうせどこかでお昼を食べるのなら、海の見えるレストランも悪くないか、退屈してきたら帰ってきたらいいじゃない、と妻もいうので、つきあうことにした。

駐車場の入り口近くで青いコペンを見つけた。帰ろうとしているみたいに見えたので、妻が手を振ったらUターンしてついてきた。まだ集まってないのか、と思ってさがしたら、駐車場のいちばんすみに数台のコペンが集まっていた。青いコペンさんは、タイヤを替えたので試走しにきてコペン軍団を見つけたのだけれど、なんとなくこわそうと思って帰ろうとしたところだったらしい。少しはなれたところにミニ・モークとフィアット・バルケッタがとまっていた。コペンではないがオープン仲間である。

いっしょに見ていた夢さんが、「何か、水陸両用車みたいですねえ。」というのも無理はない。 バルケッタというのはイタリア語で「小舟」の意味だ。
「NSUバンケルスパイダーというのがありましたよねえ。」と、のたりさんに言ったら、
「なつかしい名前が出てきたなあ。」と、苦笑いされた。
ミニ・モークの持ち主の佐々木さんはもう一台バーキン・セブンを持っているとかで、夢さんと話が盛り上がっている。
「ぼくはドアから手を出して、道路でタバコをもみ消すのが夢なんですよ。」
と、夢さん。ロータス・セブンは知っての通り、車高が低い。あの車なら、できるだろう。

コペンオーナーにはオートバイ乗りから転身組が多い。のたりさんも夢さんも佐々木さんも同じだ。その頃のことを、夢さんが話し出した。
「近大にいた頃、講義中に漫画読んでたら、高速を走って横浜でコーヒーを飲んで帰ってくるという話が載ってて、おい、今から行くぞって、仲間に言ったんですよ。そうしたら、帰りに雨になっちゃって、バイクでハイドロ・プレーニング現象ですよ。」
「それ、読んだことあるよ。横浜から神戸じゃなかった?」
「え、『ケンタウルスの伝説』知ってるんですか。この話読んだ人に初めて会った。」
「カッコイイと思ったけど、ほんとにやる人がいるとは思わなかったなあ。」と、僕。

ひとしきり昔のやんちゃな話に花が咲いた。コペン仲間にもいろいろな人がいるが、のたりさんのグループは大人が多い。生活に余裕があるからか、走りはもう充分堪能したからか、がむしゃらに走るよりも、オープンな暮らしを楽しむほうに重心がかかっているようだ。ホームセンターで、素材をさがしては、手作りで少しずつ車に手を加えている夢さんと、ミニ・モークの佐々木さんは、ホームセンター通いの常連らしい。金をかけなくてもアイデアしだいで面白い改造ができる。MCCはそのノウハウ伝授の場でもあるらしい。

セブンに憧れていた夢さんは、今度佐々木さんのセブンに乗せてもらう相談がまとまったようだ。屋根のない車が二台あっても、というのでバーキン・セブンは売ってもいいと思ってたところらしい。150万で買ったという話だが、この集まりに来るのもセブンよりモークの方が安心だからというくらいだから、もう少し安くなるかも。夢さん買う気満々である。

われわれは、車といえばライトウェイトスポーツカーが主流だった頃に車に目覚めた年代である。トライアンフやMGはもちろん、日本でもSハチやヨタハチが走り回っていた。自分が乗れるようになったら、いつかはと思っていたが、これまでは家族のため4ドアに乗っていたのだ。子どもが大きくなったら2シーターのオープンと思っていたところに手頃なコペンが現れた。渡りに船と手を出した人も多かろう。

コペンもいい車だが、セブンも悪くない。オープンが二台あってもと思ってやめておいたが、車を買い換えるとき最後までオープン・カーは意識のどこかに引っかかっていた。夢さんならずとも、ロータス・セブンは憧れの車だ。車庫が持てたら検討してもいいかなあ、と思わないでもない。速く走ることより、気に入った車に触れていられるのが愉しい年代なのだ。金があったら片っ端からコレクションしているだろう。庶民にできるのはミニカーのコレクションくらいである。その分、いつかはあの車に、という夢が見られる。それはそれで悪くない。興奮している夢さんを見ていてそう思ったのであった。

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