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DAYS OF COPEN

 2005/11/13 榊原・青山ツーリング

今日もいい天気だ。昨日新車が来たばかりなのに、野暮用で時間をとられて、まだ充分に味わっていない。本当なら今日あたり、ならし運転に出かけたいところだが、間の悪いことに前々から妻が楽しみにしていたコペン仲間のツーリングの日とかち合ってしまった。納車日が決まるよりずっと前から予定が入っている。妻は、無理しなくていいよ、と言ってくれるが、ここで約束を違えては、男の値打ちが下がる。ここが我慢のしどころである。

出発は九時。その前に昨日撮れなかった納車の記念写真だけは撮っておこうと、近くの博物館まで車を走らせた。ルネッサンス風の建築がイタリア車の背景にはぴったりだと思いついたのだ。予想通り、一台の車も停まっていなかった。ファサードの前に車を停め、何枚か写真を撮った。車と一緒に自分も撮ってもらった。こんなことは車に乗り出してから初めてのことだ。

駐車場に車を止めると、後ろの方で声がした。向かいの床屋の二代目である。
「ほんと、ぎりぎり。これだけしかすき間あいてないわ。バックで入れた方がええんちゃう?」
駐車場の入り口の傾斜角がきつくノーズ部分を擦りそうなのだ。親切心で言ってくれているのは分かってるのだが、表通りは交通量が多い。一度車を停止しバックで入れようとしている間に次々と車が来る。意見はありがたく拝聴したが、バックで入れる気はない。

この日のツーリングは京滋を中心に走るHCCメンバーが、あえて、妻も走れる榊原温泉・青山高原を会場に設定してくれたもの。メンバーは朝早くに京都や大阪を発ったのだろうが、こちらは地元、集合時刻が10時だから、一時間前に出れば充分という計算である。久居から入ればまちがいなく榊原温泉に行けるものを、何を思ったか妻は一志への道をとった。

以前行ったことがある一志温泉と勘違いをしていたらしい。ナビがないと、こういうときに困る。途中まで走ったものの、結局引き返して165号線に戻った。青山高原の風車が見える道まで来ると、大きな看板が榊原温泉への道を教えていた。交差点を右折し、カンナの花の咲く道を一路榊原温泉を目指してひた走る。道草を食っていた分余裕がなくなったのだ。

会場の湯元榊原館に入るところで、大阪方面から来たコペンに出会った。見覚えのある914のナンバーはコペンをポルシェ風に改装したコペルシェ乗りのまるさんにちがいない。駐車場に停め、旧交を温めていると、次々と仲間が現れた。いずれも、みなあちらをいじり、こちらを改造という車ばかり。いつもなら、ここでひとしきり車談義に花が咲くのだが、食事の時間が迫っていた。

しかし、料理が出るまで少し時間があるというので、先に温泉に入ることにした。展望風呂は午後1時からしか入れないとのことで、1階の大浴場に向かう。いかにも老舗旅館。年代物の温泉は、近頃できたところとは雰囲気がちがう。しかし、露天は、無理矢理作ったような中途半端な岩風呂で、お湯はともかく開放感はあまりない。

いつもなら一人なので、洗い場でさっさと体を洗って、もう一度お湯に浸かって出るところだが、この日は顔なじみと一緒である。四方山話にふけっていると、時間はあっという間にたっていった。ちょうど食事の時間になったので、大広間に戻ると、食事の準備ができていた。

この日は松阪肉のしゃぶしゃぶという予定だったが、月が改まって、肉は同じだが鉄板焼きに変わっていた。みな車なので、せっかくの料理も酒なしで食べることになる。妻と自分の間には、妻のためにこの日のツアーを企画したA氏が座った。若い男二人を両手に妻は上機嫌である。酒のないのも悪くはない。刺身や肉を食べながらみんな御飯を三杯はお代わりしていた。

たらふく食べた後は、自己紹介やら何やらでまったりと時は過ぎてゆく。長距離を走ってきた人たちには、この時間は貴重なリラックスタイムなのだろうが、気が短いのか、時間を持て余す。午後1時を回って、屋上の展望風呂が入れる時間である。何人かの同士と屋上に向かった。

屋上の露天はハリウッド映画に出てくるジャグジーそのもの。洗い場はなく、ただ湯に浸かるだけである。コペン乗りは、礼儀正しい人たちが多く、お湯の中でも言葉遣いは丁寧で、実に感じがいい。ここでも歓談を楽しんで大広間に戻った。

次はいよいよ青山高原のムカデ走行である。温泉からすぐの道を右折すると、山道に入る。この前シミュレーションした道だから、妻も果敢にアクセルを踏むが、ノーマルではない前の車にたちまち引き離される。どうやら仲良し二人が張り合っているらしい。後で、みんなが口々に暴走ぶりを責めていた。走るのが楽しくて仕方がないという感じだ。途中で二台のFIATのグループとすれちがう。手を振ったら挨拶を返してくれた。こういうのはうれしい。

三角点付近の駐車場に車を止めた頃から、気温がぐんぐん下がってきた。外で、いつもの車談義をする人をしり目に休憩所に入った。寒いので、次々と仲間がふえる。途中で尾張小牧から来た赤いコペンが仲間入りした。コペンが何台も通るので後をつけてきたらしい。すぐに仲間に入れるのがこの車の不思議なところ。情報交換してるうちに知り合いになってしまうのだ。

山小屋風の休憩所から見えるむこうの山はすっかり暗くなってきていた。今回の会合はここで解散と決まっていた。リーダーのH 氏の挨拶でお開きになった。さすがにトップは開けていられない。ヒーターをつけてしばらく走るとようやく寒さが消えた。何のための温泉だったか分からない。もう一度入り直したいと、猪の倉温泉への道を告げる看板を見ながら思った。日はとっぷりと暮れ、家に帰る道はまだ遠かった。


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