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DAYS OF COPEN

 2005/7/18 一志

三連休の初日は、一週間の仕事疲れで、一日中ぐったりしていた。二日目ははっきりしない天気で、出かける気がしなかった。三日目は、それまでの梅雨空がうそのようなかんかん照りになった。九州北部は梅雨が明けたとか。空の様子を見ていると、この地方の梅雨も明けたのではないかと思うような夏空が広がっている。

さすがに三連休の間中、どこにも出かけないでいるのは体のためにも精神のためにもよくないだろうと思い、出かけることにした。このところ、日帰りドライブならぬ日帰り温泉紹介と化した観のあるDays of Copenだが、やはり、今回も近場の温泉に行くことになった。というのも、近頃の暑さのせいで妻はあせもに悩んでいる。昨日は皮膚科に薬をもらいに行ったほどだ。

それなら温泉がいいだろうということで、まだ行っていない温泉を探してみた。県外に出かけると疲れが残り、リフレッシュ効果が減少する。県内、それもできるだけ近いところでというので一志温泉というところを見つけた。榊原温泉の近くで、公共施設である。日帰り温泉に詳しいサイトで調べると、お湯はツルツルで合格点をとっている。海沿いの総檜風呂というのも候補に残ったのだが、今回は泉質重視でいくことにした。

新しいバイパスができ、かつての国道が県道に格下げになった道が国道に並んで走っている。さびれたとはいえ、旧国道。今でも住宅や店舗が道路沿いに並び交通量も多い。妻が車を換えてから、しきりに夫の車の買い換えを勧める。今のところ気に入った車がないのだが、以前乗っていた技術のM社が出したロータリーエンジンの車には少し興味がある。旧国道の店に試乗車があるというので、ついでに寄ってみることにした。

真夏のオープンカーというのは傍目で見ていると涼しそうだが、実際に乗ってみると半端じゃない。まさに炎熱地獄である。真上から指す直射日光を遮るのはわずかな帽子のひさしのみ。アロハシャツで乗ったのをすぐ後悔した。妻は、長袖にタオル地のスカーフとさすがに用意がいい。それでも、暑いのは一緒だ。

M社のロータリーエンジン歴は長い。初代社長以来のこだわりで、他社が手を引いてもずっと続けているのは、なかなかのものである。S社の水平対向エンジンに対するこだわりといい、小さい会社はオリジナリティが勝負だ。試乗車はスポーツ仕様で、大口径タイヤを履き、サスも硬めである。4人乗りでドアが、観音開きというのが売りだ。後部座席への乗り降りを助けるためだが、荷物を置くとき、立ち位置を動かなくても後部ドアが開けられるのは便利かも知れない。

さすがにスポーツ・カーを名乗るだけのことはある。6速のミッションを操って加速していくときの反応はきびきびして実にアグレッシブだ。コックピットというのが似つかわしい運転席周りだが、唯一残念なのはスピード・メーターがデジタル表示だったこと。この選択が分からない。三連メーターで、中心にタコ・メータというのは分かるが、デジタルはないだろう。

隣町のレストランに入って、まず注文したのはノンアルコールビール。脱水症状になりかけていた。オープン・カーは真冬がベスト・シーズンという知人の言葉にうそはなかった。昼食後はトップを閉じたままにすることにした。命あってのものだねである。

さて、ネットからプリントアウトした地図を見ながらナビゲーターをつとめるのだが、なんとも読みにくい地図(道路名が書いてない)で、目印がJAのG.SとかサークルK(どこにでもある)で、田舎道の真ん中で迷ってしまった。車を道路脇に停め、ダッシュボードから道路地図を出して確認した。地名と道路名は地図には必須だろう。近頃では、ナビのない車の方がめずらしいのかも知れない。道路地図などというのは早晩なくなる運命かも。

お目当ての一志温泉やすらぎの湯は、小高い丘の上にあった。図書館やパターゴルフ場も併設した休養施設の一部のようだ。それにしても駐車場にいっぱいの車。悪い予感がした。バスタオルと、タオルのセット(レンタル)がついて入湯料700円というのは、良心的だ。施設は、どこもよく似たものだが、浴室が二つに分かれているのが面白い。洗い場の上の屋根がガラスになっていて、明るい光が差し込んでくるのが気持ちがいい。露天風呂は庭園風で真ん中には蓬莱山のような立石まである。

露天風呂の周りにデッキチェアが並んでいて、寝そべって本を読んだり、肌を焼いたり、居眠りをしたりと、みな思い思いにくつろいでいる。平和なものだ、とあらためて思う。どこの世界に大の大人がこれだけ無防備にのんびりできるところがあるだろうか。この安心感だけは手放したくないと思う。ただ、こうしてほうけたようにしていて、それが守れるのかどうか、不安がないわけでもない。疲れ休めに来ていながら、またそんなことを考えている自分がおかしくなった。

光の網が揺らぐ湯の中に掌を差し入れ、そっと太陽をすくいとってみた。合わせた手の中で、それはいかにもたよりなくゆれているばかりだった。

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