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 2010/7/20 明治温泉

三連休の最終日。夏のお約束となった感がある麦草峠に行って来た。前回は夫婦二人だけだったが、今回は長男夫妻も一緒である。往復八百キロ近いロングドライブになるが、一度行ってあるので心配はしていなかった。往路は渋滞もなく伊勢自動車道から東名阪、湾岸自動車道、東海環状、中央道と乗り継いで諏訪で下り、茅野からメルヘン街道を一路麦草峠へ。

帰りには温泉に寄ろうと決めていた。ところが、以前に来たことのある温泉を妻が、「渋温泉」と覚えていたのがまちがいだった。道沿いに立つ看板の矢印を頼りに踏み入った道のひどいこと。ひび割れだらけで道の真ん中は異常に盛り上がっている。硬いサスと扁平率の高いタイヤのせいで、車は跳ね上がったり底をこすったりとさんざんな目に。

どうやら行き着いた先にある「渋御殿温泉」は、立ち寄り入浴は三時までで時間切れという。引っ返して別の温泉をさがすうちに、妻が「前にあなたが行きたいと言っていたのが渋温泉だったわ」と、言いだした。それでは、この前行ったのは何温泉だったのか。(帰ってから自分のサイトで確かめたら渋川温泉だった。)

道端に立つ馬頭観音の傍らに「明治温泉」という看板が見えた。車一台がやっとという細道を下りていくと、清冽な滝の畔に山小屋風の建物が見えた。一時間以内ならという約束で立ち寄り入浴が可能になった。一人八百円は共通料金らしい。地下に下りて浴場に入る。改装したらしく脱衣場は小ぎれいになっていた。

温泉は源泉24度というからかなり冷たい。冷泉の浴槽があり、ここが源泉かけ流し。はっきり言ってほとんど水風呂だが、打たせ湯が二筋おちていて、冷泉に浸かりながら、痛いところを打たせ、温泉と交互にはいるのがここの入浴法だと案内にあった。内風呂は加熱しているのだろう、かなり温かかった。

内風呂の隣、窓がなく屋根だけがついた半露天風呂の方は、ぬるめで、長く入るにはこちらが気持ちいい。手摺り越しに滝を眺めることができる。楓の先がはや紅葉をはじめていた。静かな谷間の宿に滝の水音だけが響いている。こんなところに長逗留したら小説のひとつも書けるかな、と長男と話し合った。

明治温泉の名の由来は「明らかに治る」から来ているという。もともとは江戸時代から農民の湯治場として利用されていたのを明治時代に開業したものだ。ロビーに当時の写真が貼ってあった。板葺き屋根に石を置いた素朴な造りだが、当時の温泉の佇まいがある。イザベラ・バードが見た日本の風景もこんなのだったのだろう。

湯みち街道というのが、茅野市街から通じている。温泉だけを目指すなら、この道が便利。沿道に置かれた三十三体の石仏にも心誘われるものがある。瀟洒な別荘地を走るのもいいが、作り物でない高原風景を愛でるなら、この道を利用するのもいいだろう。

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