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 2008/1/7 島ヶ原温泉 やぶっちゃの湯

「やぶっちゃの湯」とは、少々変わった名前だが伊賀市島ヶ原村にある日帰り温泉。オートキャンプ場やミニゴルフなど他にもいろんな施設が併設されているが、中心となるのは温泉である。ここには以前、桜を見に行く途中で、昼食に立ち寄ったことがある。そのとき食べた釜揚げうどんもおいしかったのだが、温泉が気になっていた。当日は、温泉に入っている暇がなかった。いつか行ってみようと思いながら、今日まで行く機会がなかった。

昨夜ねちがえたのか、朝から妻が背中が痛いといっている。年末年始と比較的余裕があったのにどこへも行かなかった。年末年始に打ち上げというのがあるかどうかは知らないが、とにかく今年の本格的な始動を前に、ひと区切りのつもりで温泉に出かけることにした。

休みに備えて図書館で借りてきた京極堂にはまって、妻がなかなか腰をあげないので、出かけたのが昼を過ぎていた。お昼は、以前食べて美味かった記憶のある「やぶっちゃの湯」で食べるつもりなので、高速に乗った。亀山から名阪国道に乗り大内I.Cで降りると島ヶ原はすぐだ。

まずは腹ごしらえ。昼の時間が過ぎたからか、客は私たち二人だけだった。里山料理を謳っているにしては、畳の上に椅子と机という明治時代の貴賓室を意識した造り。廊下に面した窓からは料理をいただきながら山里の風景が堪能できる。この日は、あいにくの雨だったが、墨絵暈かしの風景は、水墨画を見るようでひときわ心に残った。

里山でとれる食材を小皿に十二品目盛った定食が30食限定というのが売りらしい。一人は、それ。もう一人は「山芋ぶっかけ御膳」という野趣満点の料理にした。届いた料理を見て燗酒を追加した。小皿にのっているのはどう見ても酒肴である。これで酒をのまなくてはもったいない。もっとも運転をしているので、飲むのは妻のほうなのだが。

食事を終えていよいよ温泉である。やぶっちゃの湯は、ナトリウム炭酸水素塩泉。さらさらすべすべになるというので「さらすべの湯」を謳っている。源泉は35.7度。加熱なし、かけ流しの源泉も用意されている。それ以外は、加熱循環を明記している。この点正直で好感が持てる。公営であるからかもしれない。男湯と女湯は日替わり交代。露天風呂とサウナ、泡の吹き出る浴槽に寝湯と、一通り揃っている。

気温が低いせいか、浴室に入ったら一面の湯気で前が見えなかった。温泉らしい雰囲気がまず気に入った。おそるおそる歩いて、大浴槽につかる。熱めの湯で、たしかにさらっとしている。顔にかけると、ピリピリとした感触がある。皮膚がとける感じだ。湯煙のむこうで人の動くかげが見えた。二人も入ればいっぱいの源泉はどこでもいつも満員でなかなか入れない。ひとり分空いたすきに滑り込んだ。35.7度は、夏ならともかく冬場では少し冷たく感じるが、長く浸かっているなら、これくらいがちょうどいいのかもしれない。

細長い矩形の露天は「月待ちの湯」という名。半分に屋根、半分は本当の露天になっている。屋根が半分あけてあるのは、月を見るためらしい。風雅なものだ。近くの人なら、寝る前にひとっ風呂という手もあるだろう。月を見ながらの温泉というのはまたひとしおだろう。隣に二人分の寝湯がある。この寝湯が使い勝手がいい。手すりや足置きがよく考えられていて、下に滑り落ちる心配がない。時折り落ちてくる雨粒さえなかったら眠り込んでしまうところだ。

サウナが野外に作られている。冷水槽も外にある。これが本当のサウナだ。本場フィンランドでは熱いサウナから出て、湖に飛びこむという。心臓にはよくないのかもしれないが、これが気持ちいい。サウナで一緒になった人と話し込んでしまった。植木屋さんで正月から四日通い詰めだという。そろそろ仕事だと思ったら、雨が降ってきて仕事にならないというので今日も温泉だとか。話し好きで、つかまってしまってのぼせそうになった。

洗い場は木桶と木の腰掛。ぬめり感のあるのが気になるが、プラスティックより上質感がある。髪を洗ったあとのドライヤーも風量があってよく乾く。全体的に使いやすく作られている。もう少し近かったら、たびたび来るのだが、という気持ちで温泉を後にした。一人800円。施設設備、泉質と、名阪国道から来るなら、よく似た時間になるところからも、大山田村にあるさるびの温泉の好敵手であろう。

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