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 2007/5/3 洞川温泉

洞川(どろがわ)温泉は奈良県吉野郡天川村にある。三重県にある我が家から高速を使わず下道を走ると所要時間約5時間。R42を勢和村まで走り、そこからR166で高見トンネルを抜け、鷲家から県道16(伊勢街道)に入る。大宇陀から南下というルートもある。

窪垣内からR370に乗り、吉野川沿いの道を走る。岡崎でR309に入り、川を渡る。時代に取り残されたような街並みが道の両側に迫る下市を抜け、黒滝に出る。観光案内所のある川合で左折して洞川に向かう。右に折れると天の川温泉に行ける。狭い山道は秘境ムード満点。人家が見えてきたら橋を渡る。山間の集落にしては立派な大通りが通っている。二階に出格子をつけた旅籠風の店が軒を連ねて両側に迫る。

川の向こう岸には大峰山龍泉寺という修験道で知られる名刹があり、その講中が常宿にしているのが、この洞川温泉なのだ。どの旅館にも何々講の名前が白墨で書かれた板が何枚もかかり、行者装束に身を固めた参拝者がそぞろ歩いている。浴衣がけの客が通りの土産物屋をひやかしたり、昔懐かしい射的に興じたり、にぎやかな温泉街の風景である。寂しい山道を通り抜けた後だけに萩原朔太郎の書いた『猫町』に入りこんだような気になる。

長く伸びた宿場町を通り過ぎたが、目指す洞川温泉らしきものが見えない。案内では天の川温泉とよく似た素朴な造りのように見えたのだが。当然旅館にも温泉はついているだろうが、宿泊客ではない、ふりの客には敷居が高い。引き返して下まで降りてきて、はじめて村営駐車場の向こうにそれらしき建物が見えた。

当然ながら、古くからある温泉街に新しい村営温泉施設を作ることはできない相談である。川沿いの新開地しか用地のないことに早く気づくべきだった。温泉利用客には1時間無料の駐車場に車を停め、玄関を開けた。登山客用の温泉程度の小さなホールとロッカーではない昔風の下駄箱が待っていた。

貴重品を入れるロッカーに財布を入れて、それぞれの脱衣場に入った。脱衣場にもコイン式ロッカーはなく、銭湯と同じゴムバンドのついた鍵つきのロッカーが並んでいた。600円というのは、日帰り温泉としては普通の料金である。それにしては施設設備に金がかかっていないなと思った。吉野杉を使った内湯にはジェットバスがついていた。泉質は無色透明のアルカリ性温泉。くせのないさらっとした湯だ。26度というのだから沸かし直しているのだろう。露天には屋根がついていたが、温度はぬるめだった。

ちゃんとした温泉気分が味わいたかったら、旅館に泊まれということなのだろう。湯治場風の趣をのこした和風の宿もたくさんあった。外湯めぐりの鑑札も用意ししているようだから、宿泊するのも悪くないかもしれない。ただ、どの宿も団体参拝客中心といった感じが強いので、個人客の居心地がいいかどうかは分からない。しかし、灯ともし頃のここの雰囲気はちょっと味わってみたい気がした。

大峰山龍泉寺は、山懐に抱かれるようにしてひっそりと建っていた。み寺の甍越しに散り残った山桜が数本。その上にかりがね橋という吊り橋が心細げなくらい小さく見えている。裏山を少し登ると、吊り橋に出た。妻は、こわがって渡らないので、途中から引き返してきた。二十分も歩けば鍾乳洞が見られると看板にあったが、すでに三時は回っていた。往復の時間を考えると、無理がある。今回は止しておくことにした。

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