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SPAS

 2007/4/29 阿曽温泉

土曜日は出勤だったので、大型連休初日は日曜日からということになる。
前日めずらしく飲み会に誘われたこともあって、朝はゆっくり起きた。東の窓の遮光カーテン越しに強い光が差し込んで、連休初日が快晴であることを知る。
珈琲を淹れて、髭を剃り、クロワッサンをかじっていると、妻が起きてきた。ゆっくり珈琲を飲みながら新聞を読み、久しぶりの休日気分に耽る。なにしろ、職場が変わったこともあって、四月の忙しさといったらなかった。ようやく、ひと月が過ぎ、職場の様子も飲み込めてきた。以前の職場と比べ、皆忙しそうに働いているので、さすがにひとり怠けているわけにもいかず、珈琲を飲む間もなく働いていたら自分のペースを見失いかけていた。ここらで一息入れなければならないところだ。

朝から洗車して147をピカピカに磨き上げた。北に走る道は幹線道路につながるため、この時期は混雑する。そんなわけで、GW恒例の南コース。日本の道百選に選ばれた南島線を走って紀伊長島まで。目指すは道の駅「マンボウ」の真鯛のあぶり焼き丼である。

桜の季節ならオープンで走りたい道だが、シャツ一枚でも汗ばむ強い陽差し。エアコンを効かせた147の窓越しに映る新緑は、天麩羅にして食べたいような薄緑の若芽が眼に眩しい。連休を海岸でキャンプしようというのか、横浜から来たキャンピング・カーがのんびり前を走る。無理はしないで着いていったら道を譲ってくれた。

海岸線に沿って延びる九十九折りの坂道から、青空を溶かし込んだような紺碧の海が見える。思惑どおり誰も走らない道を快適に走って紀伊長島に到着。ちょうど昼食時分で心配したが、運良く駐車でき、座席も空いていた。お目当ての真鯛のあぶり焼き丼の食券を買って待つことしばし。運ばれてきた丼を見ると、刺身と焼き魚の中間ほどの白さにあぶられた鯛の切り身が七、八切れ、細切りの海苔を散らした酢飯の上にのって出てきた。山葵醤油に浸して酢飯と一緒に頬張ると、淡泊と思いきや絶妙にあぶられた鯛ならではの旨味が口いっぱいに広がる。ゆっくりと味わうつもりがあっという間に平らげてしまった。あおさ入りの味噌汁と沢庵が付いて800円。これはお値打ちである。

さて、食事をすませるとすることがなくなってしまった。店の前にある熊野灘臨海公園で、一休みしたあと、古里温泉を探しに車を出した。看板どおりに走って着いたところが古里海岸。海水浴にはまだ早い砂浜にはキャンプの支度をしている車が一台停まっているばかり。近くにあった看板には目指す古里温泉を示す矢印があるのだが、よく見ると物置に立てかけてあるだけで、肝心の方角が分からない。海辺の集落だけに道は狭く、どこに続いているかも分からない。今回はパスして、42号線に戻った。

帰りは荷坂峠を越えるルートを取り、八べえさんお薦めの阿曽温泉に寄ってみることにした。阿曽にはいるとそれはすぐ見つかった。廃校になった小学校の木造校舎を再利用したとかで、内部は新しく改装されていたが、兵舎を思わせる素っ気ない造りが昔の小学校の面影を残している。用意していなかったので、タオルを買って入った。

温泉といっても、もとが教室だった訳だから、そんなに広くはない。浴槽は一つきりで洗い場もわずかである。露天があるわけでなし、最近の日帰り温泉の至れり尽くせりぶりから見れば愛想のない造りといえる。それでも、浴槽の前には小学校につき物の桜の木が若葉をつけ、垣根越しに田植え前の水を張った田圃が広がる長閑な風景は、なるほどのんびりしている。限られた人数しか入れないから、浴室内も静かで気が休まることはこの上なし。八べえさんが気に入ったわけも分かるような気がする。桜の時分だったら、湯に浸かったまま花見ができるわけだ。来年の四月にはまた来ようと思った。

保湿クリームを持たずに温泉に入った妻のために、道の駅に隣接するスーパーでクリームを買ったついでに、切らしていたワインも調達し、帰り道を急いだ。丸太小屋を作っていた頃は毎週通った道だが、久しぶりに走るとなんだか懐かしい。花粉の季節もそろそろ終わりだ。テラスで珈琲が飲みたいというリクエストもあることだし、たまには風を入れに行かないといけないな、と思いながらハンドルを握っていた。

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