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Lunchtime

 2006/11/26 フレンチ

結婚記念日をその店で祝う予定だった。ただ、その前に少し風邪をひいてしまったのと、当日の天気が悪そうだったので急遽別の店に替えたのだった。なにしろ、私たち夫婦は二人ともいける口である。その店は、料理も美味いが他店のように普通の酒屋で買えるワインを何倍もの高値で出すようなけちな真似をしない。そこが気に入っていた。

しかし、難点がひとつ。なにぶん店が遠い。バスやタクシーでは、ちょっと行けない。いつもはどちらかが運転して一人だけがワインをいただくのだが、結婚記念日ともなるとそうはいくまい。各駅停車しかとまらない最寄りの電車の駅まで、電車で行ってそこから歩くつもりでいたのだ。雨と風邪っぴきでは無理もできない。案じた通り、補欠の店は今イチだった。

今日は、そのリベンジのつもりである。もっとも昼のランチではボトル一本を開けるのは少し無謀というもの。料理だけ味わうつもりである。妻の方は朝から休日出勤だったので、グラスワインくらいはいただいてもよかろうというので、亭主の車で行くことにした。

昔は有料道路だった道は、今ではすっかり生活道路と化したが、道沿いの雑木林はこんなにも色鮮やかに黄葉する木が生えていたのかと驚くほどの秋色である。全山紅葉にはまだ少し早く、先の方から三段階くらいに紅葉がすすんでいるその様がまた美しい。いつもなら前を行く車のスピードが気になるのだが、今日は目を彼方此方にさまよわせながら、ゆっくり後についていった。

正午前に着いたのに、店は満員だった。小さな洋食屋さんというコピーはだてではなく、二人がけの小卓が八席しかない。ちょうど入ったばかりらしく一時間ほど待たないといけないと言う。店の中は座るどころか立錐の余地もない。開いたら携帯電話に連絡を入れてもらう約束をして店を離れた。こういうときは、携帯電話の有難味が分かる。といっても自分は持ち歩かないないのだが。

ちょうど家でも山口瞳を読んでいたところで、どこで読んでも同じである。近くにある図書館で短いエッセイを何編か読んだ頃に連絡が入った。小説ではこうはいかない。途中で切られると後が気になる。こういうときは短めのエッセイに限る。店に戻ると入り口の席がやっと二人分空いたところだった。

この小さな店は、このあたりの洋食屋志望の料理人が修業する店として知られていて、近くにもここで修業した人が何軒か店を出しているらしい。ランチはセットになっていて、オードブルとメインの料理、それにデザートが数種類の中からセレクトできるのが人気である。季節によって少しずつメニューが変わるから年中来てても同じ物を食べなくてもいいというわけだ。

妻が選んだのは、蟹のムースのアメリカンソースとハンバーグのドゥミグラスソース煮込みモツァレラチーズがけ、デザートがガトー・ショコラ。夫の方はベーコンとチーズ、オニオンのタルト、塩漬け豚肉の白菜包み、デザートはベイクドチーズケーキ。真っ黒なパンは竹炭と聞いたのだが、どうやって焼くのだろう。食後のコーヒーもエスプレッソ風でとても美味しかった。

帰り道は雨に降られたので、海岸線を回る予定は取りやめた。昨日今日と曇り空の中で見る紅葉の美しさにあらためて気づいたのだが、雨が降るとさすがの紅葉も色を失ってしまう。せっかくきれいになってきたのだが、今週の前半は雨が続くようだ。週末に天気が回復したとして、それまでもつだろうか。近場の紅葉が結構美しいことに気づいただけに気がもめることである。

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