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DAYS OF COPEN

 薄

11月3日は、いわゆる特異日で、晴天になる確率が高いそうだ。案の定、朝から空は晴れ上がっている。気温も高く風もないとくれば、戸外の空気を吸うにはもってこいの一日である。なに、急にアウトドア派になったわけではない。寒くなる前に、フルオープンの醍醐味を味わっておきたいというただそれだけのこと。

今年の秋は遅いのか、霜月の声を聞いても山はまだほとんど緑のままだ。紅葉が楽しめないとしたら、薄はどうだろうか。薄くらいどこにでも生えているのだが、あたり一面の薄が原というのは、最近ではそんじょそこらではお目にかかることも少なくなった。薄で有名なところといえば、このあたりでは、奈良県と三重県の県境にある曽爾高原だろうか。倶留尊山の麓に広がる一面の薄は、ちょっと他にはない見物である。

古い地図では、切れていた道が、インターネットではちゃんとつながっているのをたしかめて出てきたはずだったが、どこでまちがったのか、行き着いた先は全面通行止めの看板と車止めが待っていた。もと来た道を引き返し、「道の駅」でパンフレットの裏に書かれた地図をよく見てみると、どうやら、右に曲がるべきところを左に曲がってしまったらしい。目的地は西なのだから、南から来れば左に曲がるのが自然なのだが、道路というのはそう素直には作られていない。山があれば迂回もする。そんなわけで、T字路まで戻ってあらためて右に進路をとった。

なんのことはない。すぐに標識に目的地が表示されているではないか。喜び勇んで走ること十分もしただろうか。道は険しい山道に差し掛かり対向もままならない。昼なお暗い杉木立の中を一旦停止やバックを繰り返しやっと抜けた頃には、妻は「帰りもここを通るの?」と不安顔。「帰りは別の道にしようよ。」と言うのがやっとだった。

方向音痴というのがあるらしいが、どうもそれに近いらしい。もう一度右と左をまちがえて、もとの曲がり角に戻ったあたりに新しくできたばかりの「道の駅」があった。入浴もできるというが、ここで温泉に浸かったら、帰りは運転しながら居眠りだろう。昼食だけにしておくのが賢明というものだ。焼き鯖寿司とあまご寿司を注文して、席に着く。どちらもなかなか美味しかったが、鯖はほどよく脂がのっていてことのほか美味であった。

曽爾高原は、上天気に誘われたのか、近県からのハイキング客で賑わっていた。駐車場に車を止めると、さっそく遊歩道を歩いた。背丈ほどもあろうかという薄が原では、多くの人がいてもあまり気にならない。青空にぽっかり浮かんだ雲を見ながら、遊歩道を歩くのは気持ちのいいものだ。子どもが小さかった頃は、山の上まで登ったものだが、今回は亀池の周りを一回りして帰途に着いた。

さすがに日が落ちてからは、フルオープンというわけにはいかなかったが、まる一日ハンドルを握ることができて、ライトウェイトスポーツの魅力を堪能した。きびきびした走り、素早いレスポンス。地面の凹凸を拾うサスペンションの硬さ、とどれをとっても軽量ながらスポーツマインドにあふれている。一日中下から突き上げられたので、いい運動になった。今夜はぐっすり眠れそうだ。

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