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DAYS OF COPEN

 針テラス

プラモ感覚とでもいうのだろうか。思い思いの意匠を凝らした色とりどりのコペンがざっと80台。名阪国道にある道の駅「針テラス」の駐車場に並んでいた。この日は関西と東海、それに四国のコペン仲間が集まるオフ会。集合時間に一時間ほど遅れて駐車場に車を止めると、一帯にはちらほら横浜や栃木のナンバーもまじる盛会の様子。

あいにく小雨のぱらつくぐずついた空模様。いつもならお互いの愛車を見ながらあれこれと情報交換をする面々も早々と屋内に移動し、会場のレストランでオフ会はすでに始まっていた。会場内の顔見知りに声だけかけて、昼食は別のところでとることにした。もう少し早く家を出れば、集合時刻に間に合ったのだが、日曜の朝くらいゆっくりしたいというこちらの気持ちを察してか、妻は参加表明をしていなかったのだ。

もともとコペンは妻の車。正式会員は妻の方だ。近くなら自分ひとりで参加するところだが、家から針までは往復250キロほど。これまで、それほどの長丁場を運転した経験がない。それに明滅する光を見ると起きる閃輝暗転という持病がある。偏頭痛の前駆症状で、この症状が出ると直後に偏頭痛が襲ってくる。アシスタントドライバーとして、同乗を要請されるには訳があるのだ。人の集まるところが好きな方ではない夫に気兼ねして参加表明をしなかったのだろう。いらぬ気を使わせてしまった。

道の駅にはめずらしく、針テラスには本格的なイタリアンレストランがある。会場のレストランとは別棟の二階にその店はあった。妻はポモドーロ、私はジェノベーゼのパスタを注文した。デザートはジェラートの盛り合わせ、私の方はエスプレッソだ。
「今日はこんな天気で、運転は大丈夫だから、貴方ワイン飲んでいいわよ。」
と、妻。降ったりやんだりの天気で、空はどんよりとした雲に覆われている。それが、かえって妻の目には都合がいいらしい。お言葉に甘えてグラスワインをたのんだ。

店の一部がイタリアン・グッズのショップになっていて、ワインやオリーブオイルはもちろん、ヴェネティアン・グラスを使った小物などがガラスの棚に並んでいる。レストランと同じほど広いショップの一角は、フェラーリやランボルギーニのオフィシャル・グッズが並べてあった。帽子やシャツ、ドライビング・スーツとマニア垂涎の品揃えにはちょっと驚いた。中でも一番驚いたのは、なんと本物のランボルギーニが陳列されていたこと。ダークブルーのディアブロ。一昔前ならスーパー・カーと呼ばれた車である。

オフ会はまだ続いているようだが、駐車場ではボンネットを開けて内部のチューンナップを説明している人や、デモ・カーの周りで、仕様の説明を聞いている人が何人かいた。パーツをどこで手に入れたらいいのか、値段は、使い勝手は、と本人に直接聞けるいい機会である。中にはほとんど原型をとどめないほど改造されたコペンもある。どうも、この車、買った後の方がお金がかかる車のようだ。手を入れようと思えば、どれだけでも入れることができる。

エアロ・パーツを多用してレース仕様にしている車もあれば、クロームメッキのバンパーやオーナメントでヴィンテージ・カー風に見せている車もある。持ち主によって様々に変貌するのが、見ていて楽しい。妻がいちばん見たがっていたガル・ウィング(鴎の翼)仕様のドアに改造したコペンが見つからなかったのが残念。晴れていたら、きっとドアを開けていたはずなのだ。

針テラスにも温泉がある。小雨の降る中、車を見て回って冷えた体を温めることにした。まるでジムで、温水プールも併設されている。温泉だけなら、700円。タオルは別売りだから用意した方がいい。最近は、温泉グッズだけは必携。この日も用意に怠りはない。単純温泉という標示だが、肌がつるつるする感じが強い。長男に言わせると、温泉に含まれる化学成分で皮膚の表面がとけ出しているから、そう感じるのだそうだが、道の駅で入った温泉の中では最も温泉らしさを感じるお湯だ。あいにくの天気で露天は今ひとつだったが、タオルをたたんで頭に載せればどうということはない。サウナでしっかり汗をかいた後、露天で熱を冷ました。

ビンゴ・ゲームに続いて、今が自己紹介の真っ最中というオフ会をしり目に早々と退散することにした。初めてのムカデ走りにつき合ってくれたYさんにだけは、挨拶をしておきたいというので、妻が会場にメールを入れると、Yさんは、わざわざ外まで出てきてくれた。6月には伊勢の方を走る計画があるとのことで、再会を期して分かれた。結局、行き帰りとも妻の運転で楽なドライブだった。

グラス一杯のワインは疾うに抜けたはずだが、温泉で心身ともにほぐれたのか、途中眠ってしまったらしい。気がついた時には車は名阪国道を降り、高速道路へのインターに入ろうとしていた。雨はいつのまにか上がり、雲は少し薄くなっていた。山の切れ目から見馴れた町が下の方に広がっていた。


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