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DAYS OF COPEN
浦村

 ツーリング

気圧の谷が近づいていて天気は荒れ模様だと予報は告げていた。昨日までのあたたかさが嘘のような風の音が窓を揺すぶっている。朝のうちは晴れ間も見えたのにしだいに雲が広がってきていた。今日は、妻が待ちに待った本格的なツーリングの日だった。コペン・オーナーが主催するサイトのオフ会が、近くで開かれることになり、参加を申し込んでいたのだ。

あたたかな晴天が続いていたので、花粉の飛散量が一気に増えたせいか、今ひとつすっきりしない体調だったが、交代要員として私も参加を要請されていた。スピードについていけないときに替わって運転するためだ。花粉症の症状が出てからしばらくコペンには乗っていなかった。黄砂のように飛んでいる花粉の中をオープンで走るのだ。前日から医者の診察を受け、薬を服用して朝を迎えた。

最初に行った医者の待合室にいる患者の数に恐れをなして、近所にある患者を待たせないことで有名な医者に行ったのだったが、流行らないには理由があるのか、それとも眠くならない薬をと言い過ぎたからか、もらってきた薬は、たしかに眠くはならないかわりに市販薬に比べると効き目も弱い気がした。それでも、鼻水は一応止まっている。助手席に乗り込んで待ち合わせ場所に向かった。

市営駐車場で待つこと三十分、ようやく見えたコペンの列は、しかし、駐車場を通り越して走り去って行くではないか。携帯電話で連絡を取り合い、別の有料駐車場で合流。色とりどりのコペンが8台。並んで停めると、さすがに壮観である。名刺交換をしたり、妻が用意したお土産を渡したりとしばし歓談。ネット上では何度も会話していても顔を見るのは初めてだ。みんなそんなに若くないので、内心ほっとした。女性が4人、男性が6人、うち二組が夫婦である。

まずは、テレビ番組にもなった名物の餅屋でぜんざいを食べた。指の跡を川波に見立てた漉し餡を載せた餅は、全国的に有名だが、ぜんざいにはちゃんと小豆が入っていた。もっとも、味はあっさりしていて、甘い物好きにはもの足らなかったようだ。つきあいで食べたが、量といい、甘さといい、左党にはこれで充分。十時のおやつにはそれでも重すぎるくらいだ。

次はパールロード入り口の旅館で温泉に入り、その後昼食という予定だった。どうやら朝熊道を通って行きたいらしい。鳥羽への抜け道だが、整備された割には交通量が少なく、飛ばすにはもってこいの道。なるほど、蛇の道は蛇。大阪在住者というのに、道路事情に詳しいのに感心した。後で聞いたら、そういう道を走るのが趣味らしい。3桁国道ファンがここにもいた。

鳥羽までは、地元ということで私が先導することになった。シルバーと黄色が二台、あとは、赤、白、グレイ、それにグリーンが各一台。つるんで走るとさすがに見物である。アップダウンの多い山道はミラーに後続車の姿が見える。なるほどムカデ走りとはよく言ったものだ。すれちがう車の窓越しに面白がっている表情が見えるのが愉快だ。

温泉の湯船に浸かると目の前には海が広がっていた。昼間から温泉に浸かっている酔狂な客は他になく貸し切り状態だった。大阪、姫路、和歌山、川越と、皆ずいぶん遠くから来ていた。
「今回はまだいい方です。この間、島根まで行ったときは24時間運転し通しでしたよ。」
中で一番若い青年が言った。基本的には日帰りツーリングなので、目的地が遠ければ早朝出て深夜帰宅ということになる。運転の疲れを取るには温泉はいいだろうが、眠くならないのだろうか。ツーリングと言ってもほとんど一人で走っている訳だ。車を止めたときしか話すことはできない。私が出た後もゆっくり浸かりながらしゃべっているようだった。

旅館の近くにある地元の人がよく行く食堂で昼食を食べた。焼き貝の盛り合わせと刺身の舟盛りで御飯を頂くことにした。このツアーを企画した女性は顔なじみらしく、めひび、蛸と若布の胡麻酢和えがサービスで出てきた。刺身が美味かった。よくテレビで、取れ立てでこりこりしてて美味しいというタレントがいるが、新しすぎてもよくないのだ。少し寝かせてからの方が美味い。さすがに地元の人が通う店のことだけはある。ここの主人は魚の味を知っていると思った。

雨が降ってきたこともあって、結局控えの運転手がずっと運転した。磯部から伊勢道路を通ってもとの駐車場に帰ったところで私たちは離脱。御坊に帰る男性は、紀伊半島を南下して南回りで帰ろうと地図を見ていた。後のメンバーは、飯高町で別の仲間と合流し166号線で帰るらしい。花粉症で目を真っ赤にしたり、腰にコルセットを巻いたりしながらのツーリングである。好きでなくてはなかなかできるものではない。再会を約束して別れたのであった。


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