影について


電車の影が走っている
その中には
ぼく等の分も含まれている

形あるものの傍にいて
君の複雑な気持ちが
愛し合う猫たちの尻尾の位置が
悲しい出来事も
何とかファッションも
女学生のおしゃべりも
影の薄っぺらさになり
本心もその中にいる

お月さまの形にも
一役かっていて
影だけが世界でただ一つの平等だ

影の最高傑作は夜で
昼の影の生真面目さを
自由な方向に変えてくれている

車のライトといっしょに道路沿いを走り
窓明かりに入りこみ
心もとない街を覗きこむ
疲れた目をいやし
見えなかった星を輝かせ
ぼくの善と悪も
夜の影にかくまわれている

ぼくは歳を取るのに
時間には影がない
歳を取った経験のない影が傍にいて
一瞬にいて亡くなることだってある

影のないものがぼく等を支配している
だから
君の傍にある見えない影を
影愛好家として一言

もっと大切に


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作品の裏側( 影について )


 影のことなど、普段だれも考えない。私はなるべく考えるようにしている。特に夜を作り出す影などは有り難いなぁと思っている。私の不真面目やHな行動(AVは昼借りに行きにくい)を完全とまではいかないが、隠してくれている。
 電車やバスの影もおもしろい。乗っている人たちの形も気持ちも一枚の影になって動いて行く。平等に!
 影のある内は、生きている証拠で、その証をいつも引連れて歩いているわけで、もっと大切にしなくてはいけない。
 時間という影のないものの中に私たちはいる。つまり、限られた時間しか人間は楽しめないということで、つい、忘れがちである。影を見て、時間のある有り難さを噛締めて行こうではありませんか!

 若者は、考えなくていいかもしれませんが。

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