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 2012/5/31 あきのの湯

全国の日帰り温泉を紹介する雑誌のひとつに「温泉○士」なるものがある。たまたま、近所の温泉についてネットで調べていた妻が、その温泉が雑誌に紹介されたので、今月号を持っていくと無料になるという記事を見つけた。さっそく本屋に電話をすると在庫があるとのこと。温泉に行く前に買うことにした。先週のことだ。

定価450円の雑誌を買うと、700円の入湯料金が無料になる。それだけではない。温泉の受付では、雑誌のそのページにスタンプを押すだけだから、別の温泉にもって行けばまた使える無料パスになるわけだ。使えば使うだけ元が取れるのだから、別の温泉を探さない手はない。もっとも、運賃は別勘定になるが。県内にある他の温泉には食指が動かなかったので、隣の県を見てみた。すると、奈良県の「あきのの湯」が掲載されていた。道の駅「大宇陀」のすぐ近くにあるのは知っていたが、まだ行ったことはない。それでは、行ってみようということになった。

同じ号に掲載中の「玉城弘法温泉」の看板を横目に通り過ぎる。以前前までは来たのだが、なんとなく入りそびれて以来ここには来ていない。相性が合わないのかも。先週入った「飯高の湯」に併設されている道の駅「飯高」で、お茶を買い、ほとんど誰も走っていない166号線をひた走る。高見トンネルを抜けると、奈良県だ。先日吉野に桜を見に行ったときは、左に折れたY字路を、今回は右にとり、菟田野に向かった。道の駅「大宇陀」はすぐ見つかった。「あきのの湯」の温泉スタンドがあり、足湯に浸かっている客もいた。パンフレットによればすぐ近くらしい。

道の駅を出て右方向に走ると幟が立っていたのですぐに右折。小高い丘の上に「あきのの湯」はあった。モダンデザインの真新しい公共施設が何棟も建っている。駐車場に車を止め、まずは昼食だ。温泉施設内の食堂で定食をいただく。味は結構おいしいが980円という金額は、我が家の基準では少し高目。なにしろ、年金が満額出るのはまだまだ先だ。

この温泉の面白いところは、水着を着用すれば、温泉プールにも入れるところ。食堂にいた老夫婦が連れていた孫らしき兄弟は浮き輪持参だった。一応水着は持ってきていたが、浮き輪の子どもたちと一緒に温泉に入りたくはない。妻は無料。一人分は700円なり。猪の倉温泉では60歳以上はシニア料金で150円安くなったが、ここにはその制度はなかった。今度はこっちも雑誌を買うべきかも知れない。

男女日替わりで、和風と洋風の温泉が用意されている。この日は、男湯が洋風だった。洋風というのは、タイル張りの浴槽が並ぶばかりで銭湯のようだ。ジャグジーにサウナと一通り定番が用意されている。電気風呂のあるのがユニークだ。ピリピリと皮膚を刺激するのが面白いが、あまり長湯はしたくない。その隣にぬる目のお湯がわりと広い浴槽に満たされていた。源泉かけ流しではないが、ここは長湯したくなる。単純アルカリ泉、いわゆる「美人の湯」系で、肌がすべすべする。

露天にも浴槽が二つあり、ひとつは屋根つきで日おおいがかけてある。緑色をしたプラスチックのガーデンチェアが三つと、プールサイドによくある白い寝椅子がひとつあって、いつもふさがっていた。空にはぽっかりと雲が浮かぶいい天気、裸で寝そべるには最高の日だろう。空くのを待って自分も寝てみた。目蓋を閉じても日差しが強くタオルを折りたたんで目の上を覆った。休日ではないから、混んではいないが、まだまだ働けるだろうと思われる年配の男たちが、平日の日の高いうちからこんなところでだらだらと寝転んでいて、本当にこの国は大丈夫なんだろうかと、自分のことは別にして心配になった。

もう、妻も出たころだろうと待合室に行ってみると、まだ来ていないようだった。ベンチに腰をかけて持参の文庫本を手に取り、ふと横を見ると見慣れた柄のサマーセーターが見えた。大手ベッドメーカーが開発した医療用のマッサージ器具に体を揉んでもらっているのは妻だった。営業マンが「ご主人もどうぞ」というので、もう一台の上に横になった。ふくらはぎを包むように器具をセットしながら、「腰痛はありませんか?」と訊くので、「ないけど、どうして?」と問い返すと「左の股関節が緩んでいます。ぎっくり腰になりそうなタイプなので。」と、言いながらてきぱきと器具をセットし終えると動かした。こういう器具を作らせると日本人はうまいものだ。一昔前のものと比べると、まったく別物。まるで人が揉んでいるかのように手を変え品を変え揉み、叩き、しごく。10分間休みなく揉み療治され、最後にふくらはぎだけもうひと揉みして終了。アンケートもなければパンフレットもなし、まったくの無料サービス。これで商売になるのだろうか。まあ、自分の体に欠陥があると宣告されたわけで、意識下に購買意欲を増進するチップセットが埋め込まれたようなものだから、意外に商売になるのかもしれない。どうして妻に声をかけたのか、聞いてみればよかった。(後で妻に聞くと、やはり「右と左の足の長さがちがう」というチップセットを埋め込まれていた)。

帰りは、湯谷峠を越え、小屋によって見た。ベランダはすっかり腐って、小屋本体にも黒ずみが出てきているのが分かった。小屋までの道は整備されていたので、来ようと思えば、どちらの車でも来られる。ただ、材木の載せられる車を持ってないのが問題だ。軽トラでもあるといいのだが。

家に着いたのが午後6時と、結局一日がかりになってしまったが、気分だけでなく体の方もしっかりほぐれたようで、日課の体操もせずに寝てしまった。

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