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 2008/11/1 多気の湯

もう日が暮れかかっていた。広い駐車場の向こうに木の香の匂うような真新しい板塀を立て回した平屋の建物が見えた。玄関と思しき屋根の上にひときわ目立つ「天然温泉多気の湯」の看板。昨今流行りのショッピングセンターの複合施設。駐車場を共有でき、集客も期待できるからか、いろいろな業種が競合しているが、温泉つきのショッピングセンターというのは、あまり知らない。

けばけばしいのではないかと心配したが、建築家の意匠を無視した屋根の看板はいただけないものの伝統的な佇まいに一安心した。料金は平日は680円、日祝日は780円と、高くもなく安くもないところ。我が家からは一時間足らずで来られるので、立地条件的には悪くない。以前に紹介した「熊野の郷」よりも近い。今のところ最も近くにある天然温泉である。

靴箱はコインのいらない形式で、これはありがたい。受付に靴箱のキイを渡すと別のキイをもらう。これが館内の支払い全般に対応する。何かを食べても買ってもこれで分かるホテルのキイのようなものだ。食事ができるのは当然として理容室まであるのには驚いた。低料金で散髪もでき、その後、温泉でまったりというのは浮世床と浮世風呂を一緒にしたようなものか。

お湯は地下1000メートルから湧き出した源泉100パーセントと銘打っている。消毒臭はない。いわゆる美人の湯系ではないらしく「麗人の湯」と名のっているが、つるつるすべすべ感はない。少し塩辛いのは含有するカルシウム分のせいか。

硝子窓に面した浴槽が二つ。洗い場とのしきりに足湯をしながら背中越しにお湯が流れる仕組みのお湯が設けられている。うれしいのは、サウナが広いこと。TVつきは人によっては評価が分かれるところ。後、「塩」と書かれた別の蒸し風呂とあかすりマッサージの施設がある。露天に目を転じると、樽の浴槽が二つ。寝湯が一つ。これもTVつきの露天が一つ。夜間に照明のついた浴槽もあって数は多いのだが、これだけ広いのに打たせ湯やジャグジーがないのが疑問だ。

樽風呂は一人専用なので、ゆったりできる。縁に両手をかけて暮れなずむ空を仰ぐと藍染めに染め残された模様のように、なごりの飛行機雲が二筋、空を横切っている。近くには液晶で有名な電機工場もできたが、まだまだ田園風景を残している。夜ともなれば里山を背景に温泉宿のような風情が醸し出されるあたり、立地条件としてはいいのかもしれない。

湯上がりの火照りをさましがてら、併設されているスーパーマーケットで夕食の材料を探す。ワインやデザートも買いそろえて帰宅。それでもふだんの夕食の時間に間に合う近さが何よりである。

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