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 2005/10/23 湯の山温泉

風の強い朝だった。高台に建っているせいか、硝子窓をふるわす風の音は木枯らしを思い出させる。低気圧の通過の影響か、こちら側は晴れているが、日本海側は大しけとの予報が出ている。妻のコペン仲間は今日は琵琶湖遠征中とのこと。
「早く起きたら行こうかと思ってたけど、天気が悪くっちゃ駄目ね。どこか別のとこ行こう。」
昨日、仕事を片づけたせいか、やけに元気である。

四日市にある車のディーラーに寄ってから、湯の山温泉を訪ねてみることにした。いつものようにネットで検索すると、さすがに温泉地。何軒もの温泉が引っかかった。その中から、落ち着いた雰囲気と料金の高くないところをと探すと、一つ見つかった。絵野温泉「希望荘」。公共の宿らしく、入湯料が500円というのは、近頃ではお値打ちである。

荷物の準備は妻に任せ、車屋と温泉の地図を手近にあった紙に写した。めったにプリントアウトをしないので、プリンタが邪魔ではずしてしまった。簡単な地図なら手書きで写した方が早い。その方が頭にもよく入る。理屈はそのはずだが、手違いもある。目印になる店はきちんと写しておきながら、お目当ての車屋を、地図に書き写すのを忘れたことに気づいたのは、車に乗ってしばらくしてからだった。

四日市までは国道23号線。妻の前の車の故障で何度か通った道である。店のあるのは国道1号線沿いのようだった。何とか、1号線に乗り無事店に着いた。営業マンが感じのいい人で、けっこう長居をしてしまった。車屋を出たのが二時半過ぎ。お腹もすいてきていた。四日市から湯の山は近いと言ってもどこかで腹ごしらえをすませた方がいい。空腹のまま湯に入ったりしたら目が回りそうだ。

沿道に「一刻堂」というラーメン屋を発見。どこかで聞いたことのあるような名前だ。妻が味噌味をたのむというので、こちらはこってり醤油味というのにした。豚の背脂を浮かしたスープは、こってりというほどでもなかった。メンマは大ぶりのが三本入っていたが、叉焼はお情けのようなちびたのが一枚、別にトッピングしろということらしい。麺もこれといって特徴のない味で、丼の底は見ずに終わった。

477号線を川に沿って遡っていくと、道はしだいに山の中に入っていく。空は、この時夕暮れのように暗く、雨脚も速くなってきていた。電信柱にある「希望荘」の看板を頼りにどうにか、駐車場までたどりついた。どうやらけっこう大きな旅館らしい。駐車場がいっぱいで第二駐車場まで回る。道沿いには停まりきらない車が路上駐車中。日曜の午後というのにずいぶんの人出である。

フロントで「日帰り入浴を」というと、「4階で承っております」と言う。エレベーターで4階に上がる。さして広くない休憩所は人でいっぱいだった。入浴券を自動券売機で買うと千円札一枚ですんだ。下駄箱の鍵と引き替えにロッカーの鍵をもらう。タオルつきというのがうれしい。洗い場が狭いのが玉に瑕だが、露天風呂からの景色は見事という他はない。泉質はかなりぬるぬるしている。温度がもう少し高いといいと思う。サウナは蒸気が噴き出すタイプで、湯気が濛々としていて時計が読めなかった。吹き出す汗の量でこれくらいだろうと見当をつけて出た。

露天風呂からはV字谷の向こうに山の麓が一望できる。低く垂れ込めた雨雲の下に、夕空がほんの一部開けて見えた。その明るみに心惹かれたのは私だけではなかったらしい。小学生くらいの男の子を連れた父親が、感に堪えぬという口ぶりで「いい景色だなあ」と子どもに言うのが聞こえた。いつものようにゆっくり浸かっていた妻が、後から出てきて言うには雨雲の間にほんの少し虹が出ていたそうだ。あの親子連れも、もしかしたら虹を見たかもしれない。

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