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Lunchtime
カナダカエデ

 2006/11/3 チキンライス

いい日和が続く。休日出勤の妻が出がけに言い置いていった洗濯物を物干し竿に架けた。日中は気温が高いのに朝夕の冷え込みが厳しくなった。昨夜も寝入りばなをニケに起こされ、しばらくつきあったせいか喉のあたりが痛い。足もとが冷えるのを膝掛けで被うとペーパーバックの推理小説を手に書斎の椅子に座り込んだ。笠井潔の未読の中編を一編だけ読み終え、外に出た。表通りに出、床屋のサインポールが回転しているのを見届けると、家に戻り、財布と鍵、それに読みかけの本を持って再び外に出た。

先客がいたので、少し待った。しばらく来ないうちに出窓がなくなり二重窓になっていた。呼ばれて椅子に座ると、息子の方が「よくこんなに伸びるまで……。」と、ひとくさり嫌味を言った。
「毎週水曜日にごみを出すみたいにはいかないのでね。箱にためた古新聞と同じで、はみ出すようになると、仕方なく始末するだけさ。」憎まれ口をたたき合った後は、いつものように世間話をしているうちに髪ができあがる。

ちょうど正午になっていた。どこで食べるにせよ、せっかくの秋晴れだ。運動不足解消を兼ねて歩いて町に出る。デニムの上衣の右ポケットにカメラを押し込むと、片側の肩が重くなった。ジーンズのポケットに両手を突っ込んで歩きはじめた。旧街道もすっかり新しい家に建て替わって昔を偲ぶよすがもない。坂を下りきったところに僅かに古い家並みが残っているのだが、近頃、そこに動きが見える。どうやら店舗に改装されたようだ。車で通り過ぎたときにちらっと見ただけなので、今日はそこを確かめることにした。

思った通り、ブティックと喫茶店が開店していた。蔵を改装した喫茶店は、ちょっと雰囲気がある。ここなら散歩の折に立ち寄ることもできそうだ。そのまま川沿いの遊歩道を歩いて河崎に出た。祝日というのに、何人かの観光客に出会っただけで、相変わらず閑散とした町だ。この前、カメラを忘れて撮れなかったところを回ってみた。しかし、いざカメラを構えると、思っていたような構図にはならず、結局数枚撮っただけだった。

古い蔵を改装したカフェに、OPENの札が掛かっていた。木曜から日曜の間だけ店を開けている「モナリザ」という店だ。定番はチキンライスと表にあるから、なんと懐かしいと思ったのだが、ケチャップ味のあのチキンライスではなかった。ルーツは中国海南省の郷土料理で「海南チキンライス」。蒸し鶏を生姜、チリ、醤油の3種のタレで、タイ米を香味ソースで炊きあげたジャスミンライスと一緒に食べるのだとか。海草の入ったスープつきで800円。タイ米ファンとしては久しぶりのぱらっとした食感のライスに満足した。

帰りに本屋によって文庫版の新訳『ロリータ』を探したのだが、残念ながら見つからなかった。コミックや週刊誌のスペースばかり広くて文芸書は端っこの方で小さくなっている。田舎の書店で本を探すのはどんどん難しくなってきている。外国文学のコーナーはほとんどファンタジーコーナーと化しているし、ナボコフのナの字も見つけられなかった。

昔よく歩いた徴古館の坂道を通って帰ってきた。今年の秋は暖かすぎて、カナダ楓の大樹もまだほとんど緑のままだ。枝の先の方だけが少し黄みがかっていた。この次来る頃には、もう少し色づいているだろうか。神宮へ続く御幸道路脇に大学駅伝の中継用スタンドが組まれていた。また、あの季節がやってきたのだな。明日は一年点検のために四日市行きの予定だ。早めに家を出るようにしないと、と思った。

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