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garage147

 車探しの日々

三連休の中日。妻は休日出勤で、早朝から家を空けている。
はっきりしない天気で、遠出をする元気も出ない。
開店時間を待って、伸びてきていた髪を切りに散髪屋に出かけた。
店は家から歩いてすぐのところ。若い店主 は、近所で話をする数少ないひとりである。
この日は車の話が中心だった。

若い店主は車好きである。仕事が終わると深夜までガレージで車をいじくっている。
そんな彼だが、もう何年来、同じ車に乗っている。変えようとは思わないのかと聞いてみた。
「ほしい車がない」という点で話が一致した。
実は、そろそろ買い換えたいと思って いるのだが、これだ、という車にめぐり逢えないでいる。

その前の日も二、三の車屋を見て回ったのだが、一長一短があってなかなか決まらない。外観は気に入ってもインテリアがもう一つとか、販売店が近くになくて不便とか、いろいろ気になる点がある。
国産車の場合、後の方は問題ないのだが、デザインが今ひとつ気に入らない。
特に顔がよくないのだ。外国車のいい点は、その会社の顔というものがはっきりしているところにある。

かつては日本も有名な外国人デザイナーに依頼して117クーペのような粋な車を作っていた。
壊れない車を作る能力はあるのだから、もうそろそ ろ自前のカーデザイナーが育ってもいいころだ。
会社主義が災いしているのか、魅力的なデザインを見つけられないのは残念だ。
1600CCくらいで、スポ−ツ マインドに溢れ、ちょっとクラシカルなフォルムを漂わせた車。
どこかで作ってくれないかなあ、というのが、その日の結論だった。

それにぴったりあてはまる車があることを、その頃はまだうかつにも知らなかった。
知らぬが花という言葉がある。知らないでいるうちは気楽なもので、「ほしい車がない」と嘆いていればいい。
高嶺の花でも見なければ平気だ。しかし、一度見てしまったが最後、その呪縛からは逃れられない。
「快楽の」とか「官能の」とかのコピーはだてについている訳ではない。
ファムファタル(宿命の女)、言うならばアルファロメオは、そんな車だった。

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