船を下りると、目の前にある少し開けたところがローマ広場。スポーツ用品店やブティックなんかがあるちょっとしたショッピング街になっている。妻は、またジェラッテリアを見つけた。今度のジェラートはミント味だそうだ。
桟橋からローマ広場を抜けて、少し歩くと、ネオ・ゴシック様式のわりと新しいドゥオモが見えた。その前に少し入り隅の空間ができていて、カフェの赤い椅子が並んでいた。カブール広場である。小さな広場なんだが、町の中心はここだぞ、とはっきり自己主張しているようだった。
ヨーロッパでは、たしかに、どんな小さな町に行っても高い建物を見つければ、その下に人が集まることができる空き地がある。そこを中心にして町が作られているのだ。その高い建物が、ある時は教会の鐘楼であったり、王宮の塔、議会の時計塔であったりするのは、権力の在処のちがいを示している。権力が誰の手にあろうと、町の中心に広場があるのは変わらない。道は広場から伸びているから、旅人は、いつも広場を目指して集まってくる。広場を見つけるとほっとするのは訳があるのだ
コモはシルクの産地として有名で、一流ブランドの製品もほとんどはコモで生産されている。有名ブランドのスカーフなどを安く売る直販店もコモの名物になっているらしい。色や柄の種類が多いので、欲しい物さえはっきりしていればお気に入りの一枚が見つかるにちがいない。ブランド品かどうかは知らないが、妻も一枚手頃な大きさのスカーフを買った。一緒に旅をしていて分かったが、スカーフというのは便利な物である。暑ければ帽子代わりに、寒ければ肩掛け、膝掛けになる。教会のように肌の露出が制限されているところでは必須アイテムである。そういえば、ミラノのドゥオモの前では、スカーフを売る中国人が多かった。いつも鞄に入れている妻が出して見せたら、向こうに行ってしまったが、うまいところに目をつけるものだ。夜はまたミラノに戻った。
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last update 2001.8.30. since 2000.9.10