アキラがママゴト用のちっちゃなバケツを持ってやってきた。 「おっちゃーん、このバケツ洗てー」 中に入っていた泥を捨てて洗ってやった。 「おっちゃん、これ洗い終わったらなぁあ・・・」 なかなか続きを言わない。 「洗たらどないするの?」 「タオルでふいて」 アキラが公園から帰ってきた。すぐに大きなバケツを持ってウチに来た。 「あれ、今度は大きなバケツやな」 「あのなあ、アキラのバケツ公園にあるの」 「忘れてきたんか」 「うん」 「はよ取ってこんと誰かが持ってくで」 「うん」 「取っておいな」 「でもな、ついてきてくれる人がおらへんの」ハイハイ、ついてきます。 ウラの家の兄弟がキャッチボールをしていたら球がそれてウチの雨囲い に当たった。 すごい音がして、ちょうどそこで仕事をしていた妻が思わず悲鳴をあげ ると、兄弟が近寄ってきて兄が弟を叱った。 「こら、ユウキ。ゴキンジョにゴメイワクやろ」 「でも兄ちゃんが投げたんやんか」 |