女心



「ねえ、コミヤ」

「ん、なに?」

「アタシのこと好き?」

「なんだよ、急に」

「いいから、ねえ」

「・・・ああ」

「もう、『ああ』じゃなくて『好き』って言ってよ」

「そんなの照れるじゃん」

「言ってほしいの!」

「ったく・・・好きだよ」

「えへへ」

「えへへじゃねえよ」

「じゃあねえ、アタシのこと愛してる?」

「そんなのわかってんじゃん」

「言ってよ〜」

「・・・ゴホン   ア・イ・シ・テ・ル」

「えへへ」

「えへへじゃねえって」

「じゃあねえ、どのくらい愛してる?」

「はぁ?」

「ねえ、どのくらい愛してるの?」

「どのくらいって・・・どういえばいいんだよ」

「だからぁ、コミヤの愛の深さが知りたいのよ」

「深さ?」

「そう」

「じゃ、アレだ」

「なになに?」

「スギナの根っこぐらい深い」

「・・・スギナの根っこ?」

「そう、すっげぇ深いんだぜ」

「なんなのよ、それ!」

「いや、ホントに深いんだって」

「なんで私たちの愛が雑草の根っこなのよ!」

「痛い痛い、爪を立てるなよ」

「何でなのよ!」

「ウソ、ウソですウソです」

「ウソ? ウソなの?」

「も、もちろんウソさ」

「もぉ〜、なんでウソなんかつくのよ〜」

「だってさ、なんてたとえたらいいかわかんないよ」

「どうして? アタシはコミヤの愛の大きさが知りたいのよ」

「大きさ?」

「そう」

「じゃ、アレだ」

「なになに?」

「三年目のコンニャクイモぐらいデカい」

「・・・コンニャクイモ?」

「そう、すっげぇデカいんだぜ」

「なんなのよ、それ!」

「いや、ホントにデカいんだって」

「なんで私たちの愛がカロリーゼロのイモなのよ!」

「痛い痛い、関節技はやめろよ」

「何でなのよ!」

「冗談、冗談です」

「冗談? 冗談なの?」

「も、もちろん冗談さ」

「もぉ〜、なんで冗談なんか言うのよ〜」

「だってさ、なんてたとえたらいいかわかんないよ」

「どうして? アタシはコミヤの愛がどのくらいすごいか知りたいのよ」

「どのくらいすごいか?」

「そう」

「じゃ、アレだ」

「なになに?」

「秋口のピーマンにつくカメムシぐらいすごい」

「・・・カ メ ム シ・・・?」

「そうそう、ホントにすっげぇんだぜ」

「・・・」

「いや、ホントにすっげぇ・・・おい、その鈍器のようなものを置けよ」

「・・・」

「と、とりあえずだな、落ち着い











 home  sitemap  top