第一回 あくせく園主役野菜タイトル奪取会議



「なあ、コカブよ。腹が立たへんかい」

「立たいでかい。おまえもか、ナスよ」

「あたりまえや。なんや、この畑日記は」

「そうそう、人を、いや野菜をバカにしとる」

「どうなっとんや、あの“縁起かつぎ”は。誰がどう考えてもタイトルは“ナス”やろ。わし、ちょくちょく出とるんやで。そやけどメインはあれだけやねん。ワキで出ても調子が悪いだのエビにかなわんだの、ろくなこと言われへん」

「あんたはまだええで。わしが出たのは“間引き”だけや。しかもその一回がメインや思うて喜んでたら、タイトルにはなられへんて、殺生やないかい」

「キュウリやトウモロコシは許せるで。やり始めの頃やし旬やしな。そやけど“おくら”や“アサツキ”なんざムリヤリやないか。なんであいつらがタイトル張れるねん」

「あの“こみ”な。あれはヘンタイやで。B級好きやねん。まっとうなこと書かれへんねん。そやからわしらをさしおいて“エビ”なんぞを主役にすえるのや」

「ホンマやで。“耕運機”がちょっとウケたらすぐ続編書きよって」

「近所の子供ら出したりしてな」

「根性がやらしいわ」

「許せんな」

「いてまおか」

「いてまお、いてまお」

「シュプレヒコール!」

「おー!」

「タイトルは野菜にしろー!」

「野菜にしろー!」

「メインを大切にしろー!」

「大切にしろー!」

「こみはボディーソープとシャンプーをまちがえろー!」

「まちがえろー!」

こうしてこみはうっかりリンスインシャンプーで体を洗ってしまったのだった。





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