11、未来について



「おい、知っとるか?」

「たぶん知ってますよ。博士の言う程度のことなら」

「不愉快なヤツじゃな」

「で、なんなんですか」

「そうそう、『ロケット』という野菜があるらしいぞ!」

「ああ、やっぱり知ってた。別名ルッコラってヤツでしょ」










「別名なんかどうでもいいのじゃ。おまえだって別名で呼ばれたくはないじゃろう」

「別名どころか名前で呼んでもらったことないですよ」

「じゃあ、ナマエキなお前は『お前』という名前にしたまえ」

「ややこしいな。で、どこでそんな情報を仕入れてきたんですか」

「某博士サイトのオフ会でロケット工学の博士に教わったのじゃ」

「そんなサイトに出入りしているんですか」

「博士なんだからいいじゃないか」

「え、博士って博士なんですか?」

「お前『博士』と呼んどるじゃないか」

「いや、そうじゃなくて、博士の博士とロケット工学の博士の博士は同じ博士なんですか?」

「お前のほうがややこしいわい。違うと思うほうがどうかしとるだろうが」

「いや〜、どうも頭の中で一致しなくて」

「漢字とロケットを差別するな」

「人格による区別ですよ」

「同じ博士だというのに」

「だって月面基地とスッポンのフンぐらい違うと思いますよ」

「そこまでもか!」










「私もロケット工学の方の博士とお話がしたいなあ」

「その『の方』が気にいらんが、確かにためになる話を聞いたぞ」

「教えてくださいよ」

「今、ロケット界では、不可能といわれてきたことが次々と実現しておる」

「ほうほう」

「人類はその知恵を結集して、長年の夢を現実のものとしつつあるのじゃ!」

「ふむふむ」

「人間、希望を失わず努力を続ければ夢は必ず叶うのじゃ!」

「なるほど」

「だから、野菜漢字湯呑みもいつか必ずできるはずじゃ!」

「すごい落差だなあ」

「そこでじゃ、『ロケット』という野菜の漢字が決まった!」

「ほう、どんな」

「ヤサイヘンに『希』の上半身と『努』の下半身じゃ!」

「え?『希』の上と『努』の下・・?」

「そうじゃ」

「それって・・・カタカナの『メカ』じゃないんですか!」

「いかんのか!」

「いくらロケットだからといって、漢字に『メカ』なんて言葉入れてどうするんですか!」

「漬物にする野菜は『ヌカ』に入れるじゃないか」

「まったく、全然、完璧に、関係ない話ですね」

「よーし、そうまで言うなら!」

「なんですか!」

「お前、別名『ロボット』という野菜を知らんか」

「あるか!」


















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