「はいはい、そんな話題もありましたね」
「ワシはサカナヘンの湯飲みに漢字がいくつ書かれておるか、敵状視察に行っておったのじゃ」
「ええっ、じゃあ一人ですし屋に行ったんですか。ずる〜い」
「いや、せともの屋じゃ」
「な〜んだ」
「結構大変だったんだぞ。湯のみって筒になっとるじゃろう。だから同じ字を何回も数えてしまってな。653まで数えておかしいなと思ったんじゃ」
「そこまで数えてから気づいたんですか」
「うむ、どうも見たような字があると思ってな」
「そらそうや」
「でも、デジャブウかと思って、あと817数えた・・・」
「・・・」
「これは同じところを何度も数えておると気づいたワシは、ひとつの字に印をつけることにしたんじゃ」
「その字を覚える、ということではいけなかったんですね」
「で『アジ』にすることにした」
「ほう、どうして」
「アジの開きが好きだからじゃ」
「・・なるほどね」
「ところがどれだけ探してもないんじゃ」
「そんなはずないでしょ」
「ないんじゃよ、サカナヘンに『味』が」
「『アジ』じゃないじゃないですかっ!」
「仕方がないから『サンマ』にしたよ」
「『サンマ』は知ってたんですか」
「うん、サカナヘンに『参』」
「それが『アジ』じゃないですか!あんたホントに漢字博士かっ!」
「その字にペロリと印をつけた」