「さて、今回は『つくり』についてのはなしじゃ。知ってのとおり、漢字とは部首とつくりか
ら成り立っとる。部首でジャンルを限定し、つくりでそのジャンルの中の何であるかを具体的
に表現しておるのじゃ。部首はヤサイヘンに決まっているから、つくりでどのように個々の野
菜を表現するかを考えてみよう」
「ああ、たとえば、魚ヘンに平で『ヒラメ』みたいなことですね」
「その通り。色、形、性質などの情報をつくりに込めるのじゃ」
「なるほど」
「しかし、その情報を『ヒラメにおける平』のように、その字の意味であらわすより簡単でわ
かりやすい方法がある」
「ほう、それはなんですか」
「見たまんまじゃ」
「見たまんま?」
「今の漢字の起源は象形文字じゃ。それは見たままを字にしたもの・・・」
「え〜と・・・どういうことでしょう」
「例を挙げてやろう。『抗』という字を知っとるか」
「知ってますよ、そのぐらい」
「この字のつくり、ナスに似とると思わんか?」
「は?」
「そっくりじゃろう、ナスに」
「え、ええ・・」
「たとえば『操』のつくりはトウモロコシに見えんか?」
「むむ、まぁ・・・確かに見えないことも・・・」