あくせく一句  第六夜

いらっしゃいませ。サヨナラ三角また来た刺客リュックサックでピクニック。あくせく一句です。たくさんのご投句ありがとうございます。最近、立場を脅かされている種田米床火です。今回は連作からです。


  ぬらりひょん ひょんな事から 一句詠み
  ボタン鍋 つついたあとは 猪鹿蝶
  鬼太郎に 淡き思ひの 猫娘
  菊めでて しばし華やぐ 砂かけ婆
  鬼太郎と 目玉親父が 月に雁
  赤青で 足らず白短 一反木綿
  このサイト 歌って笑って フラワーショー  
(詠人 TAMAMA) 

そう、全てはぬらりひょんから始まったのです。三句目に関しては解説付きで投稿され、すっかりオカブをウバワレテしまいました。期間限定で掲載された「鬼太郎花札]がよほどお気に召したようで、わたくしも心の中で「それなら買わんかい」とエールを送っています。このフラワーショーのオンステージでスポットライトを浴びているのは、TAMAMAさん、あなたなのです。ちなみにここまでで野菜関連は「オカブをウバワレ」だけでした。


  ダイコンが 抜いてくれよと 頭だし 
  蒔いたはず この畝あの畝 どこの畝  
(詠人 くり2号)

ダイコンは親切ですよね。「はい、どうぞ」って言ってるみたいです。「わざわざどうも」とお礼を言って引き抜くと、まだ短くて「こんだけかい!」とツッこむこともありますけど。二句目については、何かに書き留めておくか、畝を個性的にするかのどちらかです。オススメは後者です。直線、波線、点線、イナヅマ型、祭り縫いなど畝の形をひとつひとつ変えれば迷うことはありません。しかしこれは句の解説ではないですね。失礼。


  車窓から 目にはのどかな 野良仕事  (詠人 ワダクンの分身)

よくぞ言ってくれました。「目には」が「のどか」を打ち消しています。車を降りて近づいてみましょう。汗はダラダラ、足腰はガクガク、肌は荒れ爪は真っ黒、まぶたは蜂に刺されて腫れ上がり、長靴の中は水虫で、税金は高く、家では八人の子供たちが腹をすかせて待っています。声をかければ必ず「ギブミーチョコレート」と手を伸ばしてくるでしょう。現実はこうなのです。そのうち誰かに怒られるかもしれません。


  はやと瓜 蒸饅頭と まちがえた  (詠人 山の上のオクラ)

おそらくそのはやと瓜は蒸してあったのでしょう。でなければ間違えるはずがありません。ただの「饅頭」で良いところをわざわざ「蒸し」にしているのです。あっ、ひょっとしたら作者は冷めた蒸し饅頭しか食べたことがないのかも知れません。どうです。白状しなさい。と、偉そうに詰めよりましたが、じつはわたくし、はやと瓜を見たことがありません。この句を見てからネットで調べましたが写真は漬物ばかりだったのです。心よりお詫び申し上げます。

さて、誰のせいとは言いませんが、今回は少し長くなってしまいました。ドラマで言うなら九十分スペシャルです。これもひとえに皆様方のおかげです。ますますのご愛顧を賜りたいと存じます。
尚、投句のテーマは野菜作りに限りません。限っても守らない人がいるからです。妖怪でもキャンプでもビートルズでも浦和レッズでも電車でGo!でも宮史郎でもなんでもOKです。お待ちしております。

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