畑 日 記

               「畑探検隊」                            2000/10/15

わーい、晴れた晴れた。久しぶりに休みが晴れた。ここしばらく「週末は崩れるでしょう」の予報にどれだけ泣かされたことか。この土日は秋晴れの中、農作業三昧だ。

終わった花の片付けや間引きで午前中はあっという間に過ぎていった。昼からいよいよ本格的な農作業だ。堆肥と石灰をまいておいた、キャベツ、ハクサイ、レタスの定植予定地をコーウンキで起こす。「コーウンキで」起こす。ウネ作りの前に一休み。平和だ。空色のドームの中心で大好きな土いじり。お向かいの四歳のアキラとお隣の三年生のリエちゃんがひなたぼっこをしている。あまりに静かで二人の密談までが耳に届く。
「リエちゃん、ネコノシッポ取りに行こ」「それよりおっちゃんの畑、探検しよや」

ドキーン!平和に羽が生えて飛んでゆく。静けさは切り裂かれ、空色のドームはひび割れた。「おっちゃ〜ん」探検隊はためらうことなくその第一歩を踏み出した。

「こらこら、そんなとこ入ったら汚れるぞ。え、それはサトイモ。それはダイコン。アキラ、そこ歩いたらいかん。それはホウレンソウ。あー、葉っぱ引っ張るな。そうそう、それはニンジン。なに、団子作ったんか。投げたらあかん。こら走るな、穴掘るなー」

やっと一ヶ所に落ち着いたと思ったら、今起こしたところを一生懸命踏み固めている。
「おっちゃーん、見てー、コチコチ」コチコチて、あんた。
「道になったとこにおって」「だって、ここ道ないもーん」クワを取りウネをつくる。
「ほら、道つくったるで」「この道、工事中やもーん」フルパワーで突貫工事だ。
「ハァハァ、よしできた。道を通れよ」「おっちゃん、曲がっとるよ」やかましわっ。

気が付くと、リエちゃんの妹で一年生のトモちゃんとアキラの二人が、小さなバケツで水を運び、今作ったウネを崩して泥をこねている。「おっちゃん、見てー、ユキダルマ」「ウサギできたー」私はサジならぬクワを投げた。「おお、そうか。上手やな」

翌日の日曜日。思いもかけぬ曇り空。子供の声は聞こえない。しめしめ。長靴をはいて外へ出る。アキラがいた。スコップとバケツを手ににっこり。
「おっちゃーん、今日もたんぼするのー」たんぼじゃないっ。

曲がったウネを直している横で、アキラは昨日の続きの泥遊び。サトイモの葉っぱがポツ、ポツと音をたてた。雨だ。わーい、雨だ、雨だ。追い立てるようにアキラを家に帰らせ、部屋から様子をうかがう。本降りになってきた。よし!私は合羽を着て畑に出た。苗を植え付けた後、杭を打ち支柱を立て寒冷紗を張ってトンネルにした。もちろん子供除けである。

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