畑 日 記

               「続・耕耘機」                            2000/10/3

うふ、うふうふ、うふふふふ。買った、買いました、購入しました、手に入れました。耕耘機です。耕耘機。あこがれのうるわしの感動の望郷の耕耘機よ。待ちかねたぞ指くわえたぞ首長くしたぞのどから手が出たぞ。踊りたい抱きしめたい添い寝したい「きゃっほう」と叫びたい。なのにイライラ。何でこのワープロは「耕耘機」が一発で出ないのだ。もうコーウンキだ。コーウンキ様だ。サー・コーウンキであらせられまするだ!

とある土曜日の休日の大安の朝、九時開店の朝一の銀行のキャッシュコーナーに駆け込み、なけなしの小遣いの預金のン万円を引き出し、愛車の軽のワンボックスの尻を叩き、もよりのホームセンターの目当ての売り場に出向き、黄色のリョービの六万円の品を指差し、レジのパートのねーちゃんの両頬を札束ではたき、指定の燃料の混合ガソリンの購入を済ませ、興奮の待望の涙の初始動は、隣の奥さんの好奇の目にさらされた。

さぁ、いよいよ畑デビュー、という時になんと無情の雨。早く使ってみたいのに。今日耕して来週種を蒔きたいのに。大安の日におろしておきたいのに。

この祈りが通じたのか、天は降らそかやまそか悩んだあげく、午後の三時に一条の光が。よっしゃ、OK、ゴーゴゴー。さっそく畑に持ち込んで、エンジン始動!コーウン開始!

ああ、幸せだなあ。今、私はコーウンしているんだ。あの堅くて重くてねっとりした土が見る見るコーウンされていく。これを押しながらスキップできないのが口惜しい。裏の小学生が飛び出してきた。何言ってもエンジン音で聞こえねーぞう。「やりたい」って言っても危ないからだめだぞう。ホントはあんまり楽しいから替わってやらないんだぞう。

あら、もう終わってしまった。今まで三時間かかっていたのがわずか二十分だ。あーんもっとやりたーい。でもいいの。だってもう「イツデモデキル」んだもーん。

よーしよしよし。洗ってやるぞ。からんだ草も取ってやるぞ。「はぁっ」てしてみがいてやるぞ。小さいけれど働き者だ。小さいからこそウネ間に最適。アームをたためば車のトランクにも簡単収納。持ち運びもラークラク。やはり機械は小型に限る。

うそじゃー。ギマンじゃー。本当は大型が欲しかったんじゃー。以下同文。うそうそ。

わが友を、そのために総入れ替えした物置にしまい、本日の成果に目をやる。コーウンされた一角がコチコチからホコホコに・・・なったあと踏み固められているじゃないか。そうか!手押し式のコーウンキは、耕したところに必ず自分の足跡がつくのだ。それもまるで麦踏みのようにまんべんに。ああ、・・・トラクター欲しい。


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