「歌づくり」と私
「歌づくり」と私

広垣 進


 これまでに、ずいぶんとたくさんの歌をつくってきました。
 何曲つくったかわかりません。
 楽譜も残っていません。
 作曲法は今も昔も特に勉強していません。若い頃、作曲家の大西進さんや林学さんのアドバイスを1〜2度受ける機会があっただけです(これは、ずいぶんとプラスになりました)。
 さすがに20年ちかくもやっていますと、ある程度曲の体裁は整えられるようになってきました。
 でも、その分、新鮮味が(特に最近作った曲では)薄れているような気がします。
 そういう私の思惑に反して、時々、歌づくりの必要性にかられます。
 それは、担任しているクラスの「朝の会の歌」であったり、「ほのぼのコンサート」で歌う曲であったりします。
 そこには「みんなで歌って、元気が出る歌を」という、みんなの思いがあります。
 何とかこじつけて、発表してしまうと、「自分たちの歌だ」という 思いがあるのでしょう、たいていが喜んでくれます。
 その一方で「また、このパターンの歌を作ってしまった」というところに、私自身のジレンマがあります。

 実は、そんな私が、今も大事にしている自作曲に「ちひろのことば」というのがあります。
 これは20年近く前、東京の「いわさきちひろ絵本美術館」で、ちひろの代表作品である反戦絵本「戦火の中の子どもたち」の原画を見て、その感動が薄れぬうちにと、その日のうちに書き上げたものです。
 「今の気持ちを、かたちあるものにしたい」という思いがそうさせたのは明らかです。

 「最近いい曲が書けなくなった」というのは、もしかすると、そういう実体験が少なくなったのかもしれません。
 いえ、体験していても、それを受け止める感性が弱くなったのかもしれません。
 ..............年はとりたくないものです。
 でも、ご高齢でもみずみずしく生きてみえる方も多いです。
 弱音をはくには、まだまだ早すぎますよね。





  ↓下手な歌ですがどうぞ(ギター弾き語り;広垣 進)

 ちひろのことば  

  (原詩;いわさきちひろ  作曲;広垣 進)    試聴


赤いシクラメンの花は 去年もおととしもその前も
絵をかく仕事の私と ひとみとことばをかわす
冬の仕事場の紅一点 ひとつふたつとひらいては
絵をかく仕事の私と ひとみとことばをかわす
去年もおととしもその前も 今日の今このときも
海のむこうの子どもの上に 爆弾はふりそそぐ
赤いシクラメンの花びらと 死んだあの子のひとみはかたる
私たちには 戦争の思い出しかないの

去年もおととしもその前も 今日の今このときも
海のむこうの子どもの上に 爆弾はふりそそぐ
赤いシクラメンの花びらと 死んだあの子のひとみはかたる
私たちには 戦争の思い出しかないの


  
 生れいずる歌(あれいずるうた)  

  (作詞 幡掛節子  作曲 広垣 進)   試聴


むかし聞こえた歌声が
どこからともなく聞こえるよ 
音を失くした耳にもゆる
なつかしの歌
 
今 聞いてみたい
小鳥のさえずり
小川のせせらぎ
風のほほえみ
あなたと共に あなたと共に

むかし歌った歌声が
どこからともなく聞こえるよ
音を失くした耳にもゆる
想い出の歌

今 歌っていたい
生れいずる歌 
心の叫び
歌う喜び
あなたと共に あなたと共に