クラシックギター・レッスンノート

広垣 進(所属;伊勢ギター友の会)


NEW! ボタン 「私の音楽日記帳」の中から、めぼしいもの(?)をピックアップしました。
ほんの少しでも参考にしていただける部分があれば幸いです。



アルハンブラの思い出
1小節1拍・・・・
遅く弾きたい
弦のこと
椅子
指が動かない(?)
歳のせい
「走るな、走るな」
肩凝り
瞬間接着剤
寒波
「アルハンブラの思い出」の装飾音
ヒビ割れ
「若い頃の半分も」
これもトシのせい
繰り返しの省略
チェルノブイリの歌姫
音が割れる
イン・テンポ
いきなり弾く難しさ
さすがはプロ
職業音楽家への道
「アラビア風」
「遅く弾きすぎると」
「よく指がとどきますね」
「弦を線でとらえる」
「長めの爪」
「すぐ弾ける曲ばかりにすればよかった」
おすすめの教則本
ささやかにコンサート
反復練習
右か左か
右足を広げると……




▼2002年

3月22日(金)  アルハンブラの思い出

いつも「もうやめようか」という迷いを抱きながら発行している日刊マガジン「私の音楽日記帳」ですが、昨日2通の励ましのメールをいただきました。
その中に、「去年1年かけてアルハンブラを練習したのですが満足できるまでに至ってません。どうしたら上手く弾けますか。」 というのがありました。
「私など30年弾いていてもまだ弾けません」とい ってしまえば、この方の練習意欲をそぐかもしれませんので、とりあえず思うことを作文して返信させていただきました。
以下はそのコピーです。

「どう音楽として表現するか」というと、かなりのハイレベルな話になります(本当はこれが一番大事なのですが)ので、それは置いておき、「どうすれば音の粒がそろったきれいなトレモロで弾けるか」という点にしぼってお話しさせていただきます。
話はトレモロに限りません。アルペジオだってスケールだってそうだと思いますがひとことでいえば、自分の指の癖を探すことかなと思います。
私の場合、「最近、アルハンブラがうまく弾けないな」と思ったときは、

・どれかの指だけが不自然に力んでいないか
・関節の自然な動きにさからった弾き方をしていないか
・爪の長さやかたちは適当か
・力を抜いて弾けるテンポで弾いているか
・指の動きが大きすぎて空振りをしたり、小さすぎて音がつまったりしていないか
・体全体が自然な演奏姿勢をとってリラックスしているか
・指の動きはしなやかかどうか
・指の曲がり具合はどうか
・32分音符の最後の音(音の変わり目)は、きちんと出ているか

・・・・・・などと、あれこれと原因をさぐります。
ただ回数多く弾くだけでは、ロスが大きいと思います。
私の場合、疲れていないときに、静かな環境で、落ち着いてゆっくりと弾きながら考えてみないと、絶対そこに「発見」はありません。
したがっていつまでたっても上手く弾けるようになりません。

以上は、あくまで自分の経験でして、若い柔軟な頭と指を持った方ですと、そこまで考えなくてもクリアできていくものかもしれません。
ほんの少しでも参考になれば幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。



4月16日(火)  1小節1拍・・・・

この土曜日に演奏予定の「プレリュード、フーガ、アレグロBWV998」(バッハ)のアレグロは、8分の3拍子、16分音符の連続です。
「何とか全部の音をしっかり出せるように」ということで、メトロノームを8分音符ごとに鳴らすように設定して練習してきましたが、自分の演奏を録 音したMDを聴くと、音楽が重いし、ミスも多いし、とてもコンサートに出せるしろものではありません。
「これはいけない」ということで、1小節を1拍として拍子をとりなおして弾いてみますと、音楽は軽くなり、不思議とミスも減ってきたように思います。
もっとも、同じような反省を先月弾いた「リュート組曲第2番」の「ジーグ、ドゥーブル」でした覚えがあります。日記に残したかどうかは忘れましたが。

それにしても、日がありません。
今日の練習に入ります。



4月17日(水)  遅く弾きたい

バッハの曲には、音楽がしっかりしているというのか、うんとテンポを落としても充分いい音楽として成立するようなのが多いような気がします。
今やっている「プレリュード、フーガ、アレグロ」のフーガとアレグロも、CDで聴かれるいろんな演奏より遅めに弾きたいとは思っています。
「弾けないから遅く弾く」というのが正直なところですが、考え方としては「音楽を豊かにするために遅く弾く」というのでいいでしょう。
ただ、問題はテンポの維持です。
私の場合、ゆっくり弾き始めても、ふと気がつけば、他の方並みの「弾けないテンポ」にもどってしまいます。まったく、テンポ感覚が悪くて昔から苦労します。「この曲のどこで、走り始めるか」というのを見つけると、少しは改善できると思いますが・・・・。


4月19日(金)  弦のこと

コンサート前に弦を張り替えるのには、タイミングが必要です。
早く替えすぎると、直前練習でいためてしまいます。
でも、少しおそくなるとコンサート間際になってしまい、「今、かえたら音程が不安定になる」という理由で、けっきょく古い弦のままでやってしまいます。
今回もそうです。もう間に合いません。
普段、余裕がないのでコンサートのたびにこういう失敗をします。

「伊勢ギター友の会」のHPのカウンター数値があと少しで3000です。
3000人目の方、来訪記念に「ゲストブック」へ書きこんでいただけると幸いです。
記念品は・・・・ごめんなさい。



9月10日(火)  椅子

昨日の続きです。
自分の演奏姿勢を考えていて、若いころはもう数センチ、椅子を高くしていたなと思い出しました。
現在よく利用する伊勢市福祉健康センターの椅子が、数年前「低すぎるなあ」と感じたのが、最近はそうでもないです。
つまりは、この数年間に私の演奏姿勢は変化したのでしょう。
30代半ばころまでは、自分で普段使っているピアノ椅子を、会場に持ち込んだのでした。
それが家を建てかえ、自分の部屋が2階になり、せまい階段をピアノ椅子をもって昇降するのがおっくうになりました。
これも指が動かなくなってきた原因のひとつかもしれません。
しばらく椅子の高さを変えて練習することもやってみましょう。
練習では長い間愛用してきたこのピアノ椅子は、今から22年前、はじめてもらったボーナスで買ったものです。
いちばんオーソドックスなタイプですが、「3万円もするのか」と店先で迷ったことを思い出します。



9月14日(土)  指が動かない(?)


最近、ソルの「グランソロ」を練習しています。8年ぶりぐらいかなと思います。
でも、どうしても弾けないところが2〜3箇所あります。
「このテンポで弾きたい」という数値(四分音符=108)にメトロノームを合わせて、その箇所だけを取り出して弾くと、何とか弾けるのです
が、通して弾くと絶対弾けません。
なぜでしょう?
………実は、原因は自分でもよくわかっています。
テンポの維持ができないんです。
落ち着いて弾き始めたつもりでも、曲の難所にさしかかる頃には、テンポが上がっているわけです。
多分、曲の開始からそこまでには5〜6分かかります。
弾いているうちにだんだん熱くなるんでしょうね、きっと。
速く弾く練習よりもテンポを維持する練習が必要なのは明らかです。

………が、今日はもうだめです。 今晩、「ほのぼの合唱団」でフラメンコギターを弾きますので、そちらのほうをさらっておかねばなりません。



9月17日(火)  歳のせい

伊勢ギター友の会、来月の企画は特別例会(12日 ハーブスわきやま)で、中川祥治さんというバロックリュートの名手をお呼びするので、私の出番(演奏)はありません。
どこかで、演奏の場(個人企画)を作りたいと思って、日程調整をしていますが、その際には、ソルの「グランソロ」をメインにもっていきたいと思います。
この曲、古くから国内に出回っている楽譜は、簡略化された版のようです。
これに対して、原曲に近いとされるユージュル版は華やかな楽想を持っています。
その分音も多く、技術的にも難しいです。
私は、なんとかこちら(後者)で弾けないかと、若い頃から悪戦苦闘してきましたが、最近どうでもよくなってきました。
………というと語弊があります。「シンプルな良さもあるじゃないか」と思えてきたのです。
今日は、シンプルな楽譜(前者)で練習してみました。
何とかなりそうな気がしてきました。
弾けもしない楽譜にしがみついて無理するよりも、音符の少ない楽譜でどう音楽を表現するか………ということのほうが、面白そうでもあります。

こんなことを考えるようになったのは、きっと45歳という歳のせいでしょう。



9月25日(水)  「走るな、走るな」

9月14日の日記に「グランソロのテンポがあがってしまうのは、きっと弾いているうちに熱くなるからでしょう」と書きましたが、昨日は、「実はそうでなく、難しいところで走るのでは………」という仮説をたて、とくに、16分 音符が連続するところで「走るな、走るな」と自分に言いきかせながら練習をすすめてみました。
するとやはり、ずいぶんと安定してくるようです。
この「仮説」は、ある程度、的を得ているということがよくわかりました。

………とあらためて書くほどのことでもありません。
30年間抜けきれていない、ごく初歩的な悪癖を再認識しただけのことであります。
ただ、こうして、あらためてネット上にのせてしまうことは、自分の欠点を自覚するのに役立つとは思いますけど。



9月29日(日)   肩凝り

伊勢ギター友の会の某会員さんから、「少し弾くと手首とひじにかなりの凝りを感じます」というメールをいただきました。
私からの返信をコピーして、ここに紹介しますね。

………………
ご送信ありがとうございます。
実は、私も「長時間弾けなくなってきたな」という悩みを持っています。
さすがに「5分10分で……」ということはありませんが、ワンプログラム弾くと、最後の曲あたりになると、もう何やっているかわからないほど疲れ、弾けなかった箇所を抜き出して弾こうとしても、全く練習になりません。

(私自身のことも含め)「凝る」というのは、どこかに無理があるでしょうね。
「………でしょうね」という書き方しかできません。
冷たい言い方しかできずに、本当に申し訳ないですが、どこかに原因があるんだと思います。
それを自分で見つけるしかないでしょう。
たとえば私の場合、「アルハンブラの思い出」が、弾き方によっては、最後まで、いえ、半分もいかずに、そう、最初の繰り返し記号まで弾いたあたりで指がほとんど動かなくなります。とくに夏場はそうです。
これに対し、たとえば、右ひじと楽器との接点の位置を変えてみたり、手首と表面板とがつくる空間を小さくしてみたり、指頭のやや右よりで弦をはじくようにしてみたりしていくうちに、最近になって、また何とか最後まで弾け るようになりました。
力の入れ方や手首や指の曲がり具合なども考えながら、いろいろと試行錯誤をくりかえすしかありません。
「凝る」というのは、どこかに無理な力が入っているのでしょう。
………と言うのは簡単です。
どこかの関節を無理にのばそうとしているか、あるいは必要以上に曲げようとしているのかもしれません。
関節の曲がりぐあいは自然でも、どこか重力に逆らった部分があるのかもしいれません。
力は入っていなくても私の右ひじの例のように、どこかの筋肉や血管が圧迫されているのかもしません。
もしかすると、外的な条件を変えてみることで解決の糸口が見つかるかもしれません。
たとえば椅子や足台の高さがあっていないのかもしれません。
靴の底の厚さだって関係あります。 私の場合、譜面台の高さや位置を変えたら「こり」がなおった………ということもあります。 たとえば、今練習されている曲を、できるだけ暗譜で練習してみて「こり」が起こらなくなったら、私の経験とよく似たところに原因がありそうです。
うんとやさしい曲をゆっくりと弾きながら(基本練習でもいいです)、自分のフォームについて考えてみると、もしかすると何かわかるかもしれません。
ただし、これは疲れていないときに、静かな部屋でないとダメです。

………と、ここまでパソコンのキーをたたいたら、肩が凝ってきました。
椅子か机の高さが身体に合っていないのかもしれません。
ディスプレイを知らず知らずのうちにのぞきこんでいたのかもしれません。
どこかに原因はあるはずです。
「ディスプレイの表示文字を大きくしたら肩凝りはなおるかなあ」なんて、考えたりもします。

メールを拝見して、思いつくままに書き出してみましたが、
ほんの少しでも参考になれば幸いです。
今後ともよろしくお願いします。



10月17日(木)   瞬間接着剤


朝、いつものようにCDを1曲聴いて、音階練習をやっていますと、何やら感触が違うので見てみると、右手薬指の爪にヒビが入っているではありませんか。
コンサートは明後日の晩です。
あわてて、………というか、あわてないよう、そっと瞬間接着剤をそのヒビに流し込み、CDをもう1曲聴いて(接着剤を乾かして)から、1ミリくらいでしょうか、少し短くしました。
バランスが悪くなるので人さし指、中指も少し短くしました。
「これで、なんとか弾けそう………」ということでひと安心です。 

この日記をのみなさん、瞬間接着剤で爪をなおすのは、ギタリストにとっては常識であります。
ご存知でしたか?
………さすがの私も公衆の面前では、あまりやりませんが。



10月29日(火)  寒波

急に寒くなりました(早朝の話です)。
小さな電気ストーブでは追いつかないくらいです。

午前2時頃でしょうか、ここにも書けないような変な夢(!)を見て目をさましたら、寒くってもう眠れません。
仕方がないので2階へあがりしばらく練習して、「少し疲れたな」というあたりで、(寒くって仕方がないので)服を着たまま布団にもぐりこみ、また寝なおしました。 いよいよタイマーのお出ましかと思います。
急激に暖めるのは、身体のほうの調整が難しいようです。
頭もボーッとして練習に集中できません。
それで弱めの暖房で練習開始1時間前から暖めるということを、2年前からやっています。
楽器のためにもこのほうがいいですよね。



▼2003年


2月4日(火)  「アルハンブラの思い出」の装飾音

メルマガ「私の音楽日記帳」の購読者のHさんという方からおたよりをいただきましたが、その中に

〇「アルハンブラ」でよく装飾音符が出てきますが、その装飾音符が、トレモロの綺麗な音がでません。何かコツはありませんか。

というのがあります。
これに対し、先ほど以下のようなお返事を出させていただきました。 一部紹介します。

●私は、そこのところ(装飾音があるところ)にくると、「装飾音(つまりこぶしのようなメロディー)が出たのを聴き、それを確かめてから次を弾き始める」ということをやっています。
その結果、そこの部分だけは、テンポが揺れる(あるいは拍がのびる)ことになってしまっています。
でも、わざわざ装飾音をつけるというのは、きっとタレガが「ここを目だたせたい」と思っているにちがいない………と考え、テンポが揺れることは、あまり気にしないようにしています。
もっとも、同じ考え方でいきますと「ここだけトレモロに聴こえなくても、かまわない」………ということになりますが。

ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…ー…

以上です。
もしかすると邪道かもしれませんけど………。
この日記を読まれたみなさん、いかがでしょうか?
よろしければご意見をおきかせください。



2月22日(土)  ヒビ割れ

今日は「伊勢ギター友の会」の例会(コンサート)です。 で、「爪のコンディションを整えよう」と見てみますと、右薬指に小さなヒビが入っているではありませんか。
たぶん今日のコンサートは、(おだやかな曲が多いので)大丈夫かと思いますが、明日から本格的に進める「広垣進ギター生活30周年メモリアルコンサート」の練習が心配です。
いつも、爪を痛めたときにそうするように、アロンアルファで補強、その上から液体ばんそうこうを塗っておきました。 こちらは「補強」でなく「保護」です。
「アロンアルファは強いけど、衝撃に弱いよ」と教えてくれたのは、我が師、浜田雅明さんであります。
こうすることで爪、いや、「アロンアルファ」にかかる衝撃を少しでもやわらげるのでは………と思っています。
今晩のコンサートが終わったら、ギリギリ弾ける……というところまで、 爪は短くしてしまいましょう。

しかし、こういう苦労って、ギター弾いている人しかわからないでしょうねえ。



4月1日(火)  「若い頃の半分も」

30周年コンサートのことで、音楽仲間のHさんから「暗譜というのは、とてもすばらしいと思います。表現力がでます。練習も大変だったと思います」というメールをいただきました。

以下、私からの返信です。

 ………………

おはようございます。広垣です。
土曜日はありがとうございました。
長いことコンサート活動をやっていて、正直、暗譜の問題が一番年齢を感じます。
若い頃の半分も覚えられません。
40歳を越えてはじめてとりくんだ曲で、暗譜で弾けるのはごくわずかです。

今回のコンサートでも練習していて、同じ冒頭の「サラバンド&ドゥーブル」(バッハ)で「ド忘れして止まってしまう」という、24年前のコンサートのときの悪夢が何度もよみがえってきました。
ですから、プログラム中、技術的には易しいほうの曲でありながら「ま た止まってしまったら、コンサート全体に尾を引いてしまう」と考え、通し練習ではこの曲と第2曲目を重視したわけです。
弾き始めのタッチが安定せず、不出来ではありましたが、「止まる」という、致命的なミスをしないで済んだのは、そういうことです。

いつもコンサートの1曲目は、技術的な無理をしないように選曲しています。
でも暗譜の問題では、少し無理があったかとは思います。
何週間も前から不安にかられていたわけですから。
やれやれです。

……いえ、「若い頃の半分も覚えられません」と書きましたが、「練習時間が若い頃の半分もとれなくなった」ということかもしれません。
暗譜の問題に限らず、「もうこの年齢で、できるわけがない」と思ったらアウトですよね。
「簡単に覚えられない」なら「どうすれば覚えられるか」と考えるべきでしょう。
若い頃は、がむしゃらに時間と体力をかけてひとつの曲を1日に何十回 も弾いたものですが、今はそういうことを考えなきゃいけません。
それが現実であります。

誤解ありませんように。
私は暗譜至上主義者ではありません。
暗譜にこだわり続けるとレパートリーが減ります。 今度のコンサートでは、「久しく弾いていないなあ」という曲ばかりを意図的に考えています。
おそらく譜面台を立てることになるかと思います。

以上、「私の音楽日記帳」http://members.goo.ne.jp/home/hiro7167 にも載せるつもりで、むしろ自分自身に言い聞かせるつもりで書きました。今後ともよろしくお願いします。



4月17日(木)  これもトシのせい

練習している「南のソナチネ」(ポンセ)は、はるか昔に廃刊となりました音楽の友社による「セゴビアクラシックアルバム」の第4集に掲載されているものを、基本的に使っています。
一般的に出ているのはこの楽譜と同じものが多いとは思いますが、いろんな演奏家がステージやレコーディングで使ってみえるのは、第3楽章が20〜30小節ほど多い(長い)版のようです。
若い頃は「こちら(長い方)がいいなあ」と思って、ジョン・ウィリアムズの演奏を繰り返し繰り返し聴いてコピーしてみたりしましたが、最近は、(自分が弾く限り)セゴビア版のほうがいいな」という気がしてきました。
短い、シンプルなものが好きになってきたというのも、トシのせいでし ょう(笑)。

※「この音符はミスじゃないかな」と思えるところを勝手に変更しています。 セゴビア版をそのまま弾いているわけではありません。  もっとも、いつもどこかでミスしますので、こんなこと、わざわざ言わなくてもいいかも………。



4月18日(金)  繰り返しの省略

「やたらと指が疲れます」と、一昨日の日記で書きましたバリオスの「郷愁のショーロ」ですが、今日は、繰り返し記号を2箇所無視し、シンプルなかたちで弾いてみました。
こうすると指は多少なりともラクです。
これでいきましょう。 ちょっと、あっけない気もしますが、弾くのに苦痛をともなうようでは話になりません。

この曲の演奏は、何といっても荘村清志氏の若い頃の録音がおすすめです。
が、もちろんレコードです。
CDになっているかどうかはわかりません。
私が何度も何度も聴いたのは、今から30年近く前、この方がNHK教育テレビの「ギターを弾こう」、番組の最後で「ミニコンサート」というかたちで弾かれたのを安物のテープレコーダー(ラジカセではありません!)で録ったテープです。
このときの演奏も、繰り返しが省かれていたように記憶しています。
(今や、このテープも手元にありません)
もっとも、このときの繰り返し省略は「指がしんどいから」でなくて「時間の都合」だったんでしょうね。 



4月20日(日)  チェルノブイリの歌姫

昨晩、伊勢市生涯学習センター「いせトピア」で「チェルノブイリの歌姫を聞く会」主催による、ナターシャ・クジーの歌とバンドゥーラのコンサートを聴いてきました。
6歳にして原発事故で被爆、ふるさとをなくした少女は後に音楽家を志し……というだけでも、充分な話題性があります。 でも、そんな略歴を知らなくても楽しめる豊かな音楽がそこにありました。
いえ、その略歴があったからこそ、「だから私は歌います」みたいな気迫が生まれ、彼女の音楽が一流のものになっていったのかな………とも思います。
アンコール、アカペラで歌ってくれた「ふるさと」は、明らかに、彼女が自分の生い立ちと重ね合わせてレパートリーに入れた歌でしょう。 聴いていて涙が出そうでした。

「音楽で、自分の生い立ちを語る」
私のギターでもこれができればと思います。
まだまだ道は遠いです。
でも、がんばります。



4月24日(木)  音が割れる

通勤途上で、練習時に録音したテープ(MDからのダビング)を聴いていて、思いのほか、「音のビリつき」が多いことに気づきました。
誰から見ても「激しい」とされる「南のソナチネ」(ポンセ)では、聴く前から予想していましたが、むしろ気になるのは「郷愁のショーロ」(バリオス)です。
原因は明白です。
左手がきつい分、右手にまで力みが生じているのでしょう。 運転しながらでも気づいたくらいですから、まだまだコンサートに出せる状態ではないということですね。 なかなか力を抜くというのは難しいものです。

職場(肢体不自由養護学校)の体育の授業で、担当の先生が「力を抜くというのは、意外と難しいものなんです」と、子どもたちによく言ってみえるのを思い出しました。



4月30日(水)  イン・テンポ

アラビア風奇想曲(タレガ)/きっちりと4拍子を刻むところと自由に弾くところを区別して弾きましょう。装飾音は、やはり「こぶし」と考えたほうがいいでしょうね。何よりも歌わせることが大事です。メロディーの歌わせ方は、ひとつひとつのパッセージの最高音をどう大事に弾くかでしょう。軽いアクセントもよし、テヌート気味もよし、ビブラートもよしです。

……以上、今お休みしています携帯メールマガジン「ギター名曲25選」の原稿1回分です。
今度のコンサートでは、この「アラビア風奇想曲」を演奏します。
この曲の最初、イントロにあたる部分ですが、ほとんどの方が自由なテンポで弾いてみえます。
「まてよ、もしもイン・テンポで弾いたらどうだろう………」とやってみました。
………が、弾けません。
30年近くもテンポを揺らして弾き続けてきて、身体がその「揺れ」を覚えこんでいるようです。
愕然としました。
これはいけません。
最終的にイン・テンポでは弾かないにしても(きっとそうでしょう)、 これくらいのコントロールができなくてはどうしようもありません。
でも、「弱点がわかった」イコール「改善できる」です。
がんばりましょう。

ただいま、午前2時10分。
風の音が大きく、とんでもない時間に起き出してしまいました。 でも、これだけ早いと、安心して寝なおしができます。おやすみなさい。
(実は日記、昨日から用意してありました)



5月4日(日)  いきなり弾く難しさ

昨晩の「御薗ギター倶楽部設立会」の話です。
かつてO先生という方が御薗中学校にマンドリンクラブを作られ、そのとき部員であったものの、卒業して、仕事や家庭を持ち、30年もの間、ギターという楽器から離れてみえた、そういう方々が多いと聞きます。
公民館の一室を使って活動するのに必要な10名がかろうじて集まったという感じです。
到着しますと「広垣先生のご到着です。今日は先生の時間の許す限り何曲でも弾いていただいて……」とYさんによる下にも置かぬ(?)もてなしです。
ちょっとした自己紹介と伊勢ギター友の会の宣伝のあと、「祝賀演奏」に入ります。
指ならしもできません。
寒い時期でなくてよかったです。外から入ってきて指がもし冷えていたらどうしようもありません。
そういう弾き始めです。
いつも思いますが「いきなり弾く」というのは、難しいもんです。
「アラビア風奇想曲」「タンゴ」ともに多少のミスもあり、自分としては不出来なほうでしたが、お義理かどうか、「アンコールを」と言っていただきます。
今練習している曲で、この場に出せるのは「郷愁のショーロ」しかありません(何しろメロディーが歌謡的です)。
そう思っていたら「アルハンブラをぜひ………」と言われます。
「弱ったなあ。30周年コンサート(3/29)以来一度も弾いていないしなあ」
でも「もうやめます」と言いにくい雰囲気でもあります。
「アルハンブラの弾きやすい姿勢とタッチはこうだったな」と思い出して弾き始めました。
幸い、1ヶ月ぶりに弾いたにしては、大きく崩れることはありませんでしたが、冷や汗ものです。
こういうことを経験するにつけ、「禁じられらた遊び」「アルハンブラの想い出」、あと2〜3曲くらいは、いつでもベストに近い演奏ができるようにしておかねばと思い知った次第です。
今度「練習記録表」を印刷する際には、数曲、スペースが許せば、はじめから曲名を入れておこうかな………とそんなことを考えて、御薗村公民館をあとにしました。



5月7日(水)  さすがはプロ

大先輩のジャズギタリスト、奥田茂雄さんが私の一昨日の日記を読まれたのでしょう。
BBSに書き込こんでくださいました。
(ありがとうございました)
「眼鏡ですが、絶対に二つ必要です。譜面のところで焦点が合うのを作った」とのこと。
「やっぱりプロは違う」と妙な感心の仕方をしています。

しかし、どうしようかなあ………。
さすがに「老眼鏡」というのは抵抗があって。
知らん顔してよく似たフレームを使ってかけていればいいんでしょうけど。
でももう遅いです。ネットで日本全国に公開してしまいました(笑)。



5月14日(水)  職業音楽家への道

昨日、帰宅すると昨年秋、「ハーブスわきやま」(度会町)でバロックリュートのコンサートをもっていただいた中川祥治さん(桑名市)から「教職を辞し、リュート演奏家として歩んで行きます」旨の挨拶状がとどいていました。
人づてには聞いていましたが、「やはり本当だったんだな」と、軽いシ ョックすら覚えました。
「羨望」に近い気持ちでしょうか。
いえ、「教育公務員」から「職業音楽家」として、「転職できる条件を もってみえる」ことよりも、「転職できる力をもってみえる」ことへの羨望かなと思います。
「1年間、スイスのバーゼルで研鑚を積みます」とあります。 この年齢にして(私よりも年上です!)、さらに勉強を続けられるとの こと。
すごい意気込みです。
ことあるごとに、「もうこの年齢では………」という言い訳ばかりして いる自分が、少々恥ずかしくなりました。

「羨望」と書きましたが、「自分も後に続こう」などという恐ろしいことは、当面(少なくともあと10年くらいは)、考えないことにしましょう。
音楽で収入を得ることを考えなければ、今の条件でも、音楽の勉強も、演奏活動も、それから地元で音楽愛好家を増やすとりくみも、もっともっとできるはずです。
がんばります!
この土曜日、中川祥治さんの、名古屋市熱田文化小劇場でのリサイタルの成功、そしてこれに続く今後のご活躍をお祈りいたします。



5月16日(金)  「アラビア風」

アラビア風奇想曲(タレガ)/きっちりと4拍子を刻むところと自由に弾くところを区別して弾きましょう。装飾音は、やはり「こぶし」と考えたほうがいいでしょうね。何よりも歌わせることが大事です。メロディーの歌わせ方は、ひとつひとつのパッセージの最高音をどう大事に弾くかでしょう。軽いアクセントもよし、テヌート気味もよし、ビブラートもよしです。

………この文章(携帯メルマガ「ギター名曲25選」より)を日記に引用するのは2回目です。
今日、この曲を練習していまして、「ほんとうに、きっちりとした4拍子かな?」という疑問が湧いてきました。
テンポはきちんととったほうが、安定します。お客さんにも安心して聴いてもらえます。
けれども、それで「アラビア風」に聴こえるかどうかは別問題です。
「たしか、この弾き方を解説した文章があったなあ、そうだ、あの曲集だ」というわけで、とうに廃刊になっている故阿部保夫氏の「ギター珠玉アルバム」の第3集を、30分近くもかかって探し出し、20年ぶりにここの演奏解説を読んでみました。小船幸次郎氏によるものです。
「1小節ごとにゆっくりはじめて中程に向かって少し急ぎ、またゆっくりするということを繰り返すとカプリチォ風な感じになる」と書いてあります。
「アラビア風」でなくて「カプリチォ(奇想曲)風」です。 参考にはなります。けど「アラビア風」ってのはどんなものでしょうねえ。
アラビアのほうへ行ける訳ありませんし、アラビア音楽のリズムやメロディーを知るには、すくなくとも民族音楽のCDを買い集めるくらいのことは必要かもしれません。

こんな風に考えると、30年近くも弾いているこの1曲を仕上げるのに、あと数ヶ月はかかりそうな気がしてきました。
コンサートは来週の土曜日であります。



5月23日(土)  「遅く弾きすぎると」

「南のソナチネ」(ポンセ)の第1楽章について、20年来の迷いがあります。
それはテンポの設定です。
テンポを遅めにとって、(初めからから突っ走らず)のどかな感じを出したい………という気持ちはあります。
けれど、(私の場合)それをすると、「重い」というか、厳しく言えば「流れない」演奏になってしまいます。
これに対し、速めに弾いて、全3楽章で「急緩急」の対比を明確にする………という方法があります。
速ければ当然指は忙しいです。
ミスも増える危険があります。
けれど、明日の本番はこれでやってしまいましょう。
ポイントはきっとフレージングです。
フレーズを長くとっていけば、音楽が流れるはずです(……?)から、細かいミスはさほど気にならないのではと思います。
そしてそれには、ある程度のテンポが必要です。
「あまり遅く弾きすぎると、息(フレーズが)が続かない」というあたりもありますので。

………しかしこんなことは1ヶ月前に決断すべきことであります(笑)。



5月30日(金)  「よく指がとどきますね」

明後日弾く「郷愁のショーロ」(バリオス)は、その音楽とは別に、ギター界では、「恐ろしく指を広げないと弾けない曲」ということで知られています。ひとつ難所があるんです。
人前でこれを弾くと、たいてい「よく指がとどきますね」と言われます。
私は幸い、若い頃からこの曲を手がけていますので、何とか(ここの部分は)弾けます。
だけど………。
「よくとどきますね」と言われるより「よかったです」と言われるほうが、ずっと幸せな気分になるとは思うんですが、たいていは「とどきますね」です。
まだまだ自分の音楽が未熟ということなんでしょう。
………練習に戻ります。



6月2日(月)  「弦を線でとらえる」

昨日の「三重ギターフェスティバル」、予定通りタレガの「アラビア風奇想曲」とバリオスの「郷愁のショーロ」を弾いてきました。 演奏を終えてロビーに出ると、きっと、外交辞令でしょう、何人かの知人は「よかったよ」と言ってくれましたが、この春、プロのリュート演奏家に転身したばかりの中川祥治さんが、「余分な力が入っているね」とズバリご指摘。
「弦を面でなく、線でとらえるといいよ」とも言われました。
「線でとらえる」って、どういうことなんでしょう。 爪が弦を離れる瞬間の、弦にふれている部分の面積のことでしょうか。
「ある程度面積がないと、うすっぺらい音が出てしまう」とも思うんですが、それが大きすぎるということなんでしょうか。
そもそも、慣れないステージなので、演奏直前にアガッてしまい、とりもどすのに精一杯だったので、どんなタッチで弾いたのか、ろくに覚えていないんですよね。

ともあれ、大きなヒントのような気がします。
またしばらくは、自分の姿勢やタッチをふりかえってみることにします。
それには、難しい曲ばかりやっていてはいけません。
今度のコンサート(6月14日)、まだ決まっていない曲については、なるべくやさしいのを並べておきましょう。
やさしくてもいい曲はたくさんあります。



6月3日(火)  「長めの爪」

忙しくて練習時間がとれないと爪の手入れもあまりできず、ついつい、長めになってしまいます。
一昨日の「三重ギターフェスティバル」での演奏がそうでした。終了後、何人かから「爪を見せて」と言われて指をさしだしましたが、どうも「広垣さんってのは、爪を長くして弾く人だ」っと思われた方が多いような気がします。

今日やっと、短めにもどしました。
指は軽く動きます。
音色は………これは好みの問題ですね。
そもそも、あんなに長くしていればいつ割らないとも限りません。
コンサート前に割ったりしたら致命的です。



6月11日(水)  「すぐ弾ける曲ばかりにすればよかった」

「指全体の筋肉を使って弾いた方がいいか」あるいは「指先だけで弾いたほうがいいか」というあたりは、申し訳ありませんが私のほうで結論は出ていません。
「使い分けられる方がいいに決まっている」とだけ言っておきましょう。

………以上、週刊メールマガジン「中高年のためのギター教室」の中の一節です。
先日来(「三重ギターフェスティバル」の日、中川祥治さんのご指摘を受けてから)、自分のタッチのことが気になっています。
が、ほんの少し見えてきました。
私の場合だけかもしれませんが、たしかに「フォルテが出しやすいタッチ」「ピアノが出しやすいタッチ」「クレッシェンドやデクレッシェンドがかけやすいタッチ」というのがあるような気がします。
そして、それは指にかける力の強さだけの問題でなく、弾弦の際に使う(指の)筋肉や、弦と指が接する位置や角度など、いろんば視点が必要です(ちょっと文章では表現できません)。
そんなことを考えながら、つまり自分なりに分析しながら、ソロコンサートの準備もやっていくというのはなかなか大変です。
練習時間が今の倍欲しいです。(体力も………)
「今度(今週末)のコンサート、やっぱり、すぐ弾ける曲ばかりにすればよかったかなあ」というのが正直なところ。 練習にもどります。



6月19日(木)  おすすめの教則本 

メーリングリスト「クラシックギター初心者の館」に「みなさんが使っている(使った)教則本を教えてください。また、おすすめがあったら教えてくださいね。」というご投稿を、16日付けでいただいていまして、やっとこれに対して私も投稿をしました。

――――――――――――――――――――――――――――――――

実は、私は教則本らしい教則本は使っていません。
何冊も持っていますが、すぐ投げ出してしまいます。
練習曲は、気に入ったものを取り出して弾く程度、でもそれらの代わりに、単純な音階やアルペジオの練習は、30年間、よほどのことがない限り毎日かかさずやってきています。

ピアノの「バイエル」なんかもそうなんでしょうけど、「カルカッシ」なんかの、一見単調そうに見える曲集を使う場合、何を目的にするかで、その効果は変わってくると思うんです。
技巧的なことをもとめるなら、教則本に載っている練習曲を弾くよりも、 もっともっとシンプルな技術練習を、自分の両手のかたちや動き、出てくる音などを確かめながら、繰り返したほうがいいと思います。
音楽的なことをもとめるなら、載っている練習曲が「いい曲だな」と思えればいいんですが、そうでなければ、「いい曲だな」だと思わせてくれる方、そういう演奏をしてくださる方(指導者、先輩など)が、そばにいることが必要です。
独習されていて、もし教則本が「つまらないなあ」と思えば、他の教則本や練習曲集をさがしたほうがいいでしょう。

私が、初心者の方におすすめする教則本は、20年以上も昔、NHKの教育テレビで毎週やっていただいていた「ギターを弾こう」(その前の番組タイトルは忘れました)のテキストです。
毎年前期、後期に分かれていたから10種類以上あると思います。
講師は、阿部保夫氏、荘村清志氏など、他にもみえていましたが、当時の(何人かは今もご健在ですが)のトッププレイヤーばかりでした。
「退屈しないように選曲されていること」「半年である程度弾けるようになるはず」というのが魅力です。
ギターブームを経験された方ですと、これを今も残してみえる方は多いと思います。
5月の一度だけ行った「御薗ギター倶楽部」(顧問………てなことにな っています)でも、そんな話をしてきました。
機会があれば、ぜひごらんください。

▽メーリングリスト「クラシックギター初心者の館」 http://www.egroups.co.jp/group/ise_guitar



6月24日(火)  ささやかにコンサート

「伊勢ギター友の会」のコンサートには、年間にいくつか「出演者募集」というのがあります。
先日来、京都のKさんという、ネット上で知りあった方が「今度、弾きに行きます」と言ってくださっていたんですが、事情がかわってきたのでしょう、「行けなくなりました」とのこと。
何しろ遠いですからねえ。
たとえ少し弾いていただくにしても、日帰りは難しいですから、結局は土日の2日間、このためにお体をあけていただかねばなりません。
Kさんには、「了解しました。伊勢まで弾きにみえるエネルギーをとっておいて、ご自分で地元のコンサートを企画する……というのもひとつの方法です」とお返事しました。

ギターは音量の小さな楽器です。
「音量が小さい」ということは、とかくマイナス面にとらえられがちですが、「どこでも弾ける」ということです。
規模とかたちさえこだわらなければ、簡単にギターコンサートは開けると思います。
たとえば公共の施設の会議室みたいなところを借りて、簡単なチラシをコピーで作り、友人に配布します。
もっと広げたければ地方新聞社の地元支局に「紙面で、ご紹介お願いします」という手紙を送ります。
それで充分です。
これだけですと、経費は3000円もかからないでしょう。
今年、会員制10周年となる「伊勢ギター友の会」は、このコンサートの延長とみてよいでしょう。



6月26日(木)  反復練習

今度弾こうかと思っているタレガの練習曲のうち、一番短いのはわずか9小節、4拍子ですから全部で36拍というものです。
ところが、音の流れ、指使い、曲のもつアクセントの位置などが、今までのレパートリーとは異なるために、なかなか覚えられません。
こういうときは、楽譜を分析することにより、記憶の不確かなところを補うようにするのですが、それもダメです(まだまだ和声の勉強が足りません)。
仕方がありません。
理屈はこねずに、指がおぼえてくれるまで、繰り返し、繰り返し弾くことにしましょう。
表現力がなくなるような気がするので、こんな練習は好きではありませんが。

でも思いました。
「こういう練習って、20年間やっていないな」
若いころ、コンクールをめざして、課題曲を毎日何十回も繰り返し弾いていたことを思い出しました。
このタレガの曲、今のテンポで、40秒弱で弾き終えます。
10分も弾けば15回繰り返したことになります。
いくらなんでも、そうやっていけば(指が)覚えこんでしまうでしょう。



7月22日(火)  右か左か

政治闘争の話ではありません。
ギターを弾くときの、右指の爪が弦にかかる位置のことです。
「弦をとらえて圧迫し、離れるときの位置は、自分ら見て爪の左側(親指の側)」というのがクラシックギターを弾く場合の常識ですが、私はこれ……「これが常識」という言い方に………若い頃から異をとなえてきました。
私の場合、そのように弾くと音がペンペンと、か細い音になるような気がしたんです。
それで意図的に、手首をほぼまっすぐにし、爪の右側(小指側)で弦を弾く方法も多用してきました。 こうするとパンチのある、太い音が出せるんです。

ところが、今、薬指の先端、中央より小指側にすこしそれた部分に小さなヒビが入っています。
それで、そこの部分を避けて、「常識」的な、つまり古典的なタッチを使って、ここ数日間弾いてみたところ、今までの弾き方よりもラクに、そしてクリアな音が出せる場合があることに気づきました。 音の立ち上がりも、こちらの弾き方のほうがよさそうな気がします。

「じゃあ、今までの20年以上にもおよぶ練習は、いったい何だったんだろう………」
疑問が頭をもたげます。
でも、今まで出せたような、太い、パンチのある音は出せません。 また、低音と高音のバランスコントロールも難しくなりそうです。

一長一短ですね。
ただ、もっと古典的な、この常識的なタッチもあらためてマスターすれば、もっと音楽に幅がでるはずです。
この夏の技術的な目標が定まりました。
新旧(という言い方が妥当かどうかはわかりません)の2つのタッチを 使い分けることです。



7月31日(木)  右足を広げると……

演奏時の右足の位置のことで今朝、見つけたことです。

右足を大きく広げると楽器は安定するようです。
でも私の場合、この状態で「アルハンブラの思い出」を弾くとてんでダメです。
右ひじに力が入ってしまうためでしょうか、しばらく弾いているうちに、 ひじと楽器が遠ざかります。
こうなると、どこかの血管か筋肉を圧迫するのだと思います。
そしてまちがいなく、曲の半分もいかないうちに右指が動かなくなってきます。
「アルハンブラ」では、弾きはじめたら「ひと休み」できません。 気がついたら、動かないだけでなく、手首が痛くさえなってきます。

これを防ぐには、弾きはじめるより前に、姿勢やタッチを入念にチェックし、慎重にいくより仕方ありません。
それだけのことを考える余裕が、本番中にあればいいんですがねえ。

しかし難儀な話です。
有名な曲だけに、プロのCDと比較されますので、なおさらやっかいです。
それにしても、「アルハンブラ」を、これだけたくさんの人が弾いていることを考えると、私のような悩みを持つ人は少ないんでしょうね。

明後日のコンサート、タイトルは「アルハンブラの思い出」です。
この曲でしどろもどろになったら、それこそ目もあてられません。




私の音楽日記帳

伊勢ギター友の会