平成26年度 後期 特別企画展 「 御 師 」


伊勢は神宮と共に発達した都市であり、伊勢信仰が全国的規模で普及するに従い、参宮客が各地より集まり活況を呈するに至りました。 その原動力となったのが御師(おんし)と呼ばれる人々で、江戸時代最も多い時には、宇治と山田の町を併せて900軒近くもありました。
御師は地方の檀家を巡り布教活動に務め、年に一度神宮に収める初穂料を集めに回りました。また檀家の参宮に当たっては、御師邸に宿泊させ、お神樂をあげる他、参宮者を神宮に案内したり、食事の世話などもしていました。 今で言う伊勢参宮のコーディネーターでありツアーコンダクターでもありました。
今回の後期特別企画展では御師が実際に使用していた調度品、御神楽の錦絵、パネル等を展示する事で往時の活気あふれる様子をご覧いただけます。

主な展示物  調度品、錦絵、パネル等多数

「御師」(おんし)
をテーマにした企画風景の写真です。 御師は江戸時代最も多い時で900軒ぐらいありました。写真手前は丸岡宗大夫関係の資料です。 丸岡邸は伊勢市に現存する唯一の御師邸で慶長年間からこの地に存在する貴重な歴史遺産です。 写真奥は三日市大夫の平面図・門・鳥瞰図(復元)等の写真です。 三日市邸は伊勢の御師では最大規模を誇り敷地面積1800坪もあり、一日に100人近くの人々を宿泊させることが出来ました。 残念ながら昭和20年の空襲で焼失してしまいました。

裃(かみしも)
この写真は裃(かみしも)子供用で、御師が檀家廻り(年に一度年末に近い頃伊勢信 仰を広めるため回った)をする際の正装です。江戸時代に丸岡宗大夫が実際に使用し たものです。 檀家を回る時は御札(おふだ)以外にも伊勢磨・万金丹・伊勢の名産物等も同時に 配っていました。

山田羽書(やまだはがき)
山田羽書は、現存する日本最古の紙幣で、近世初頭には使用されていたと考えられ ており、以降明治8年まで伊勢神宮門前町山田地方の主要通貨として使用されていま した。商業の発達した土地柄から、商人間の預かり手形として発生しましたが、後に 自治行政機関である「三方会合所」が管理し、さらに、幕府の出先機関である「山田 奉行」も関わるなど、公の紙幣としての性格を持つようになりました。また、江戸時 代には他の地域でも数多くの紙幣が現れますが、、この山田羽書が、その参考とされ るなど周囲に与えた影響は大きいものがありました。

伊勢暦(いせこよみ)
伊勢の御師(おんし)は、全国各地の檀家に神宮の御札と共に数々のお土産を配り歩き ました。そのお土産の中で最も主要なものが、翌年の暦(こよみ)でありました。その 暦は「伊勢暦」と称し、農民にとって大切な農作業記事(種まきの時期に当たる八十八 夜や、稲の開花時期に当たる二百十日など)が多く記されていたため、新年を迎える上 で欠かすことのできないものとなっていました。折本という1枚の紙を蛇腹のように折 りたたんだ形態となっています。写真は江戸時代の伊勢暦です。