畑 日 記

  「ハーブ」                                   2000/7/19


「なにが半分やねん」ハーブのことだった。ハーブ。それはイングランドの庭園の彩り。イタリア料理のかぐわしさ。ごく最近、わが日本でももてはやされるようになりはしたが、その正体はさだかではない。まさに半分野菜、半分雑草である。メインの食材には成り得ないが、薬味、香り付けとしては幅広い活躍をするらしい。


「そんなもの、ネギ、シソ、ショウガとニンニクがあれば十分」と息巻いていたが、聞けば思いもかけぬ効能があるという。昨年、それを知ってすぐいくつか植えてみたが、効き目があるのかどうかわからなかった。そこで、今年は計画的にやってみた。キャベツとブロッコリーのそばに、モンシロチョウが嫌うというローズマリーやセージなどを、トマトと一緒に風味をあげるバジルとミントを、キュウリのうねに虫除けのナスタチウムを植えてみた。ちょっと「ハマって」しまったのだ。


ある日、いきつけの農業関係専門店の種売り場をぞめいていると、「ハーブミックス」なるものを発見。なんと一袋に9種類ものハーブの種が入っているのだ。裏の家の塀沿いを掘り、ふるいをかけて堆肥を混ぜ、端材でしきりを作って蒔いてみた。なぜわざわざしきりまで作ったのか。ふふ、気分はハーブガーデンなのだ。


さて、月日は流れ、わがハーブガーデンは目論見どおりの大盛況だ。ただ、どれがなにか判別がつかない。かろうじてバジルだけが、トマトの横で見慣れているために、「バジルくん」と名指しで呼べる。あわてていきつけの書籍関係専門店にはしり、ハーブポケット百科を購入した。花担当の妻に現物と本の写真を照らし合わせてもらった。「これは雑草、これも雑草、これは花が咲いてみないとわからない」私はキーと言いながら、雑草を抜いていった。残ったのはほとんどバジル。しかも4種類しかない。草取りのとき、一緒にひいてしまったらしい。畑のマフィアと呼ばれる雑草たちの罠にはまったのだ。


虫食いだらけのキャベツの収穫を終え、お役御免となったハーブをプランターに植え替えた。腰ぐらいまで成長し、青紫の可憐な花を風に揺らしているメドーセージが私を慰める。苗を買うとき、妻が言ったのを聞き違えた。「メトロン星人?」




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